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副業ヘルパー

いよいよスクーリング 仲間は美容師に音楽療法士…受講理由も様々

研修には弁当持参。このためにも早く起きないと…
研修には弁当持参。このためにも早く起きないと…

新卒で入社した出版社で、書籍の編集者一筋25年。12万部のベストセラーとなった『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(多良美智子)などを手がけた編集者が、40代半ばを目前にして、副業として訪問介護のヘルパーを始めることを決意しました。働き始めるために必須とされたのが「介護職員初任者研修」の受講。1カ月の自宅学習を終え、いよいよスクーリングの開始です。

10分の遅刻で欠席扱いに 時間厳守の研修

2020年11月から始まった自宅学習期間が終わり、12月に入って、ついにスクーリング初日を迎えました。
授業開始は午前9時30分から。介護職員初任者研修(以下、初任者研修)は、規定の130時間受講することが修了条件のため、遅刻・早退は認められないとのこと。電車遅延でも、10分以上の遅刻で欠席扱いになってしまいます。
欠席となっても、補講を受けられるのでリカバリーは可能なのですが、別日に他の教室に行かなければなりません。それは大変面倒なので、なんとしても無遅刻・無欠席でやりとげたい。スクーリングの日には、寝坊をしないようにと緊張しました。

1日の流れは、ざっくり言うと半分が講義。講師の先生がホワイトボードの前に立ち、テキストに添って授業を行います。もう半分が実技。具体的な介護スキルを、体を使ってトレーニングする実践版です。ベッド上での体位変換やおむつ交換、着替え、ベッドから車椅子への移乗、入浴の介助などなど。
実技の前提として、利用者さんは腕や足に麻痺があったり、寝たきりだったり、「体が不自由な方」という設定になっています。実際に介護を受ける方は、そういったケースばかりでないのですが、身体的な介護度の重い方の介助方法を知っておけば、あとはいかようにも対応していける、ということでしょう。

受講生はどんな人が?

受講生は10人ほど。男性は1人だけ、あとは全員女性でした。年齢は、下は20代前半から上は60代まで。幅広い世代が受講していましたが、30~40代の人が多めのように思いました。
最初に自己紹介をかねて、「なぜ初任者研修を受けようと思ったか」という理由を言うことになりました。みなさん、背景はそれぞれ。
ある人は美容師さんだそう。なぜ、美容師さんが介護の資格を?「月に1回、老人ホームにカットサービスに行っています。認知症や体の不自由な利用者さんが多く、介護スキルが必要だなと感じるようになって」と説明してくれました。
たしかに、私の母が入院していたリハビリ病院や老健(介護老人保健施設)でも、定期的な訪問理美容サービスがありました。一時期、母の老人ホーム入所を父と検討していたとき、いくつかの施設を見学させてもらいましたが、やはりどこも月1回のヘアカット日がありました。
そうした出張サービスを、通常の美容室が請け負っているのですね。老人ホームは要介護度の高い方がほとんどだろうから、介護スキルがないと接客も戸惑いそう…。

意外にも介護現場で働いている人はおらず

障害者施設で音楽療法士として働いているという人もいました。“音楽療法士”という職業は初めて聞きました。すてきな響きのお仕事だな。その人は、普段関わるのは高齢者ではないけれど、介護スキルが役立つと思い、受講を決めたそう。
なるほど、考えてみれば介護が必要な障害者の方も多くいることでしょう。後に知ったことですが、障害者福祉と高齢者福祉は地続きのようで、初任者研修の中では、障害者施設で働いていたこともあるという講師の先生が複数いました。

介護現場で働いているという人は意外とおらず、今現在の仕事に役立てるため介護の勉強をしに来た、という人が多い印象でした。また、私のように親の介護がきっかけで介護職に興味を持った人や将来に備えて資格を取得しておきたいという人も。
最年長の60代の女性は、最近まで他の仕事をしていたのだけれど、体力的にきつくなり退職したとのこと。でも、まだ生活のために働かないといけない。介護職ならこの先も長く働けると思い、まずは初任者研修を受講することにしたそうです。
私と同世代で、派遣社員をしているという女性は、「ひとり身だし、今は仕事があるけれど、この先もっと年をとったらどうなるかわからない。将来が不安なので、安心材料として資格をとっておこうと思いました」と、とても率直に語ってくれました。
介護職は、とくに中高年の女性にとって「年齢を重ねても長く働ける仕事」と認知されているみたいですね。実際、そのとおりだと思います。
そして最年少の女性は、まだ学生さん。翌年4月からの老人ホームへの入職が決まっているとのこと。入職前に研修を受ける必要があるそうです。
唯一の男性も学生さんでした。高齢者施設の経営をしている会社に内定しており、こちらも入社前に初任者研修の受講を求められた、とのことでした。

最初からヘルパーをめざすのも珍しい!?

ヘルパーになるために必須の初任者研修だけれど、「ヘルパーを希望している」という人はいませんでした。介護職に就くとしても、施設で働くことを前提にしている様子。というより、いきなり私のように訪問介護から業界に飛び込もうという人は少数派?

修了書を受けとったときは感無量でした/修了証明書「介護職員初任者研修課程を修了したことを証明する」
修了書を受けとったときは感無量でした

経歴も、今現在の状況もばらばらな受講生のみなさん。でも、その後の介護技術の実技ではグループになったり、触れ合ったりすることも多く、親しく話せたのはとても良かったです。
最終の実技試験はベッド上のおむつ交換という、研修の中で最難度の実技だったのですが、みんなで苦労しながら練習し、無事全員合格。ともに喜びを分かち合いました。
あれから3年、みなさんどうしているかしら。学生さんだった若いお二人は、職場の先輩として後輩指導をしたりしているのでしょうか。60代の女性は介護職に就いたでしょうか。
それぞれの場所で、初任者研修の資格が活かされているといいな、と思います。

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