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幸せケアプラン

体調管理は何のため? 多くが治療中の高齢者 ケアプランで大切なこと

自分らしく体調管理をしよう/食事・運動・花の水やり

公的な介護サービスを利用する際に欠かせない「ケアプラン」。けれど、どのようなことが記されているのか、どんな目的があるのか、案外、知られていないのではないでしょうか。ケアタウン総合研究所代表で、ケアプラン評論家の高室成幸(しげゆき)さんが、「幸せケアプラン」づくりを指南します。今回は、「体調管理を自分らしく」がテーマです。

要介護の高齢者のみなさんには、なんらかの病気や障がいがあるものです。症状が一時的に改善した「寛解」と言われる状態でも、多くの人は服薬による「治療中、経過観察中」です。頻度はさまざまでも、通院をされている方がほとんどです。
どの高齢者の方も、体調の急変による救急搬送や緊急入院するリスクを常に抱えています。運動不足(離床不足)や免疫力の低下などで新しい病気にかかったり・発症したりすることもあるでしょう。多くの人にとって、持病の悪化や家庭内での転倒や転落などによる骨折、のみ込みの不具合による嚥下(えんげ)事故や誤嚥(ごえん)性肺炎などがリスクとなります。とくに緊急対応がとりづらい夜間や深夜帯、季節の変わり目、感染症の拡大時期などは要注意です。まさに「そこにある危機(クライシス)」とともに暮らしているのが要介護高齢者のみなさんです。

ではケアプランには「体調管理」について、どのように表記されているのでしょうか。
体調の不調や入院は、高齢者の心身の低下に著しい影響を与えます。リスク防止のために、ケアプランでは体調管理に関する表記はかなり行われています。

体調管理が目的化していませんか?

塩分や甘い物をやめ、服薬するよう言われ、黙ってしまうひと

ところがです。
私が気になるのは、ケアプランにある課題欄の体調管理や病気・障害の改善が目的化していることです。長期目標・短期目標は単純に細分化され、支援内容欄にいたっては事細かに服薬内容と回数、栄養や水分摂取の指示と注意点などが表記されています。
もちろんどれも必要なことです。
しかし、ケアプランには「これから何のためにどうするか」が未来形で書かれていなければいけません。病状管理ばかりにスペースをとったケアプランで、果たして、ご自身の人生の願いをめざすプランになるでしょうか?正直、ダメ出しリストのようで憂鬱な気分になりませんか?

そこで私が提案しているのは「体調管理や病状管理」の表記に「望む暮らし・願い」を盛り込み、何に取り組めばよいか、を具体的に表記することです。
よくある「体調管理」にかかわる「抽象的な表記」(×)と、「望む暮らし・願い」が盛り込まれた表記」(○)をご紹介しましょう。(  )内はどのような障がいや病気がある人に関わるかを示しています。お手元にケアプランがある方は見比べてみて下さい。

■移動(脳梗塞が原因で歩きにくいなど)
× 転倒せずに安心して歩行できる
○ ふらつきやつまずきによる転倒に注意して○○公園まで歩ける

■食事(嚥下困難など)
× 食事中の事故に注意して、おいしく食べる
○ のみ込みに注意して、妻の煮込み料理をおいしく食べられる

■入浴(高血圧、片まひがあるなど)
× 安心して家族とお風呂に入れる
○ 浴室をあたため、かけ湯をして、孫といっしょにお風呂に入る

■服薬
× □□の疾患でめまいがあるため確実に服薬をする
○ □□の疾患のめまいの改善のため朝の食後の服薬を行い、自慢の庭の花の水やりをする

■運動(高血圧、糖尿病など)
× 体調を安定させるため適度な運動をする
○ 高血圧や血糖値の上昇の予防のため、朝夕5分間は○○体操をする

■栄養(糖尿病など)
× 外食では栄養のバランスに考慮したメニューを選ぶ
○ 新宿○○などで長女と外食する時は食物繊維の多いメニューを選ぶ

いかがですか?
「体調管理、栄養管理、移動、入浴、運動、服薬」などの項目だけをやたら細かく表記されても「目的」が書かれていないとピンときませんよね。
なにより、体調が悪いことが続くと心まで落ち込みがちなので、「目指すこと」のあるなしで受ける印象はかなり異なります。
それと、ケアプランで「体調を安定させる」というフレーズをメチャメチャ見かけますが、これも考えものです。体調にも「だるさ、痛み、しびれ、かゆみ、発熱、むくみ、ほてり、胸やけ」などがあります。そのうちどれが一番つらくて、何を改善して、どのように体調を安定させるか。体調管理ではそこがポイントになのに、その表記をすっ飛ばして「手立て」だけしか書かれていないことが散見されます。これでは、さすがに不安になります。
体調管理の表記に「自分らしい目的」を盛り込んでもらうようにケアマネジャーに伝えてみましょう。もらったケアプランに自分なりに赤字で追記して修正をお願いしてもいいのです。
「あなたのケアプラン」なのですから、ね。

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