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幸せケアプラン

在宅介護のカギとなる「ヘルパーさん」 お願いできる事、できない事

訪問介護の2種類のサービス 「生活援助」掃除・洗濯・調理・買い物、「身体介護」移乗介助、食事介助、入浴介助

公的な介護サービスを利用する際に欠かせない「ケアプラン」。けれど、どのようなことが記されているのか、どんな目的があるのか、案外、知られていないのではないでしょうか。ケアタウン総合研究所代表で、ケアプラン評論家の高室成幸(しげゆき)さんが、「幸せケアプラン」づくりを指南します。今回は、「介護サービス~自宅利用編~」です。

在宅介護で利用する介護サービスは大きく分けると「自宅で利用する」「通って利用する」「泊まり付きを利用する」の3種類です。
「困ったことはなんでもやってくれるもの」と勘違いされがちなのですが、決してそうではありません。まず、ここがポイントです。
ケアマネさんには日ごろから、公的介護サービスでは、どうしたことを頼めて、何ができないのかをしっかりと説明してもらいましょう。ケアプランの説明時にされても介護サービスの種類が整理されていないと、頭のなかがこんがらがってしまい困ってしまうものです。

「自宅で利用できる」介護サービスとはどんなもの?

「いつまでも住み慣れた家で暮らし続ける」…。これは、介護保険制度スタート時からの基本コンセプトです。自宅にやってきてくれて介護サービスを提供してくれるのは、ご本人も家族もとても助かります。
だからこそ訪問系のサービスは在宅生活継続の要。これをはずして自立した暮らしは望めません。

とりわけ困るのは、中重度の要介護の利用者や一人暮らし利用者、老老介護の夫婦、働いている介護家族(ワークケアラー、ビジネスケアラー)だからです。

次に示すのが訪問系といわれるサービスの種類です。

  • 訪問介護サービス
  • 訪問看護サービス
  • 訪問リハビリサービス
  • 居宅療養管理指導
  • 訪問入浴サービス
  • 福祉用具貸与サービス

それぞれに「利用する目的、できること・頼めること(できないこと含む)、コスト(報酬)」は異なります。その点を理解して上手に使いこなしましょう。

それぞれについて、さらに詳しく解説していきます。

「訪問介護サービス」は2種類あるので使いこなしは上手に!

訪問介護サービスを提供してくれるのが訪問介護員、おなじみの通称「ヘルパーさん」です。サービスには「生活援助」と「身体介護」の2種類があります。この2つのサービスは、かなり内容が異なりますので、「違い」をしっかり理解しましょう。

  • 生活援助:暮らしの行為(料理、掃除、洗濯、買い物など)をやってくれます。原則は「本人の生活にかかわること」のみ。だから庭の掃除・ペットの世話などはNG。それと同居の家族の洗濯や料理づくり、家族の居室の掃除、自家用車の洗車もNGです。
  • 身体介護:生きる行為(食事、排泄、入浴、着替え、寝返り、洗面、移動、起床・就寝介助など)を介助してくれます。原則は「本人の身体に触れる介助」すべて。たんの吸引は有資格者のみが行います。自立支援のための「見守り援助」は、利用者と一緒に手助けしながら行う料理、移動、買い物です。

生活援助or身体介護のみでよいか、生活援助+身体介護の合わせ技でいくのか、は利用者や介護家族の状況や要望、さらに自立支援の観点からアセスメントされ、プランニングがされます。

ケアマネジャーには、困っていることだけでなく、訪問介護を使って「どのように暮らしを改善していくか」「どうやって心身の低下と暮らしのリスクを減らすか」を伝え、いっしょに使い方を考えましょう。

ここで悩みどころなのが「訪問介護事業所」の選び方とリクエストの伝え方です。どこの事業所も「ヘルパー不足と高齢化」に困っています。人材不足でシフトが組めない、ヘルパーの高齢化で移動距離に限界があり、腰痛で身体介護ができない、など現状はとても深刻です。

だからこそケアマネさん任せにせずに、「何が何でも、とりあえず」ではなく、しっかりと希望を伝え、事業所選びをしましょう。

チェックする主なポイントは以下の通りです。

  • 希望する利用日と時間帯、希望するサービス(介助内容)
  • 緊急時の対応、休日・出張・年末年始の対応
  • 介護の内容と手順、相性等による介護員交代の可否、同性介護の可否

ケアマネさんには必ず「複数の事業所」を紹介してもらい、「特徴・介護員の年齢構成、得意分野&不得意分野、緊急時・災害時の対応」などを聞いた上で選ぶのがコツです。

細かい介護の手順、配慮してもらいたいこと(例:掃除のやり方、洗身の順番、料理の好き嫌い、洗濯物干しのやり方とたたみ方)などは、訪問介護事業所のサービス提供責任者に伝える必要があります。直接伝えたとしても、口頭では解釈に誤解が生まれがちです。「メモ・イラスト」、さらには「写真・動画」などビジュアルにちょっと工夫をして伝えましょう。

訪問入浴で「すっきり」&「ほっこり」

利用者の自宅に浴槽や器具・機材を持参して入浴の介護を行ってくれるサービスです。自宅の風呂にヘルパーや家族の介助があっても入れない、通所介護で入浴できない重度の人が対象です。

お風呂好きの高齢者にはとっても喜ばれるサービスです。とくに汗をかく夏場は「すっきり」と、肌寒い冬場は「ほっこり」とできます。

ただ医師の「入浴してもよい」という指示書が必要です。経管栄養、人工肛門(こうもん)、膀胱(ぼうこう)留置カテーテルなどの医療的処置を受けていても、状態が安定していれば入浴できます。ケアマネさんに相談しましょう。

ただし、浴槽や機材を持ち込むので、ベッドのある居室かリビングなどに「一定のスペース」が必要となります。

在宅医療の強い味方が「訪問看護・訪問リハビリ・居宅療養管理指導」

住み慣れた自宅で療養生活を送ることをめざす在宅医療。その強い味方である訪問看護と訪問リハビリ・居宅療養管理指導を、なんと介護保険サービスとして利用することができます。

特徴と得意分野、緊急時のフットワークなどの説明を聞いて事業所を決めましょう。

〈訪問看護〉

「退院したばっかりで家族では医療処置がちょっと心配」「母が看とりの時期に入ったが、急変時の対応ができない」など、医療的な処置や看護が必要な人が在宅で暮らし続けるための「心強い味方」、それが訪問看護です。

療養上の世話(例:食事・排泄・入浴等の介助など)と医療処置(例:病状観察、カテーテル交換、たん吸引、服薬管理など)、診療の補助などを行います。在宅医療の強い味方です。

訪問看護ステーションには、病院・診療所の「併設タイプ」と「小規模単独タイプ」があります。得意分野(例:緩和ケア、難病、精神疾患、ガン末期、看取り)はもちろんのこと、緊急時のフットワークやリハビリ職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)の有無も選ぶ時の大切な基準です。

〈訪問リハビリテーション〉

「老健(介護老人保健施設)でのリハビリを自宅でも続けたい」「父がリハビリを自宅でやれるまで指導をしてほしい」など身体・認知機能の改善のために、理学療法士や作業療法士らが自宅に来てくれるのが訪問リハビリです。

リハビリ専門職でも、運動能力(立つ、歩く、座る、腕を上げるなど)の改善は理学療法士、日常の生活行為(食事する、排泄する)の改善は作業療法士、コミュニケーション能力(話す、聞く、かむ・のみ込むなど)は言語聴覚士などそれぞれに得意分野があります。

訪問リハビリは①病気やケガからの回復期は医療保険②症状や状態の維持期は介護保険と区分けされています。病院や通所リハビリ(通称:デイケア)に通えない・嫌がる人が対象となります。事業所は、病院・診療所、介護老人保健施設に併設されていることが多く、訪問看護ステーションからも提供は可能です。

〈居宅療養管理指導〉

居宅療養管理指導は、要介護の本人の自宅に、医師や歯科医師、薬剤師、歯科衛生士、管理栄養士などの医療専門職が訪問してくれるサービスです。療養上のアドバイスや健康管理、服薬指導等を行なってくれます。

通院がなかなかできなくても、自宅で安心して療養生活を送ることを目的としています。多剤服用(薬の飲みすぎ)による副作用の影響が心配なら薬剤師の訪問、低栄養なのに過度な偏食が心配なら管理栄養士の訪問など心配事に合わせて期限を決めて利用するのがよいでしょう。

「暮らし」を道具でサポートしてくれる「福祉用具」

福祉用具のあれこれ

介護ベッド、車いすがコマーシャルやドラマで頻繁に登場するようになって、すっかり身近になりました。介護保険では「福祉用具」と総称されています。

高額な介護機器も貸与(レンタル)なら気軽に借りられます。品目も15品目(例:介護ベッド、電動車いす、ポータブルトイレ、歩行器、移動用リフト、認知症老人徘徊感知機器など)あり、メーカーによってつねに進化しています。

購入(年間10万円以内)では6品目(例:便座、尿器、簡易浴槽など)がOKとなっています。

福祉用具のメリットは、本人にとっては「暮らしがラクになる」、介護者にとっては「介助がラクになる」という「両ラク」が可能になるだけでなく、介護事故(例:腰痛、転倒)のリスクを予防できる点です。
福祉用具の効果には住環境(例:廊下の幅、居室の広さ、敷居の段差)などが即影響します。

便利さだけでなく、ファッション性やオシャレ感にこだわる人も増えています。お気に入りの柄や色、素材、デザイン性など楽しく選ぶのがコツ。同じ商品でもレンタル店によってレンタル料が異なることもあります。必ず複数の事業者を紹介してもらい、メンテナンスや緊急時の対応なども確認をしておきましょう。

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