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講演依頼、来たる!!@きのこ〜BLGの活動報告

講演のタイトル「デイサービスで仕事? BLGきのこ3年間の軌跡!!」社会福祉法人 新生寿会 西部いこいの里 BLGきのこのメンバーさん 川崎勝洋 西山祐樹
講演のタイトル

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、岡山県井原市にあるBLGきのこ(在宅複合施設「西部いこいの里」)からの報告です。

皆さんこんにちは。BLGきのこの川崎です。これを書いている今は梅雨明けが待ち遠しい時期なのですが、むしむしとした日が続きますね。毎日天気とにらめっこをしながら、「今日は何をする? 雨だから外には出られんなー」「畑の水はやらんでいいから楽だ」なんて声が全国のBLGのメンバーたちから聞こえてきそうです。

ある日のこと、私たちのもとに社会福祉協議会から「認知症カフェでBLGきのこの話をしてほしい」と、講演の依頼が届きました。メンバーさんに伝えると、「人前で講演? 1時間も? 誰が聞きに来るん? 何も話せることがない!」「丹野さんくらいにならないとそんなことはできん!」「その日は絶対に用事をつくって休む!」「私は来る日じゃないから良かった~」など、ざわざわする空間の中、あるメンバーさんだけは、「ワシは行くで。茶を飲んでおしゃべりするだけじゃ。一緒に行こう」と一言。そこからは講演依頼のことをメンバーさんの意識に留めるために、案内状を机に置いて様子を伺うことにしてみました。

毎週会うたびに、「この認知症カフェってなんのこと?」と、スタッフに尋ねることもあれば、メンバーさんたちの会話の中でも、「いつカフェに行くんけ?」「認知症カフェっていう名前はなんか…な」と、少しずつ気にかかるようにもなっていきました。嫌なことには参加しなくていいと説明しながらも、メンバーさんが認知症カフェの<認知症>という言葉に違和感を抱いている部分があり、どのような伝え方をすれば違和感なく受け止められるのかを考えながら、その都度説明をしていく日々が続きました。

そして、いよいよ当日を迎え、午後からの講演に向けて午前中は発表内容の確認と、今一度メンバーさんの思いも確認していきます。顔を青くしながら、「何(なん)も喋らんよ? 自己紹介だけ! 無茶ぶりしてきたら許さん!」「まあ、せっかくだから楽しもうや!」出発前にそう話していた2人のメンバーさん。講演にはBLGの取り組みについてスタッフからの説明も入れ、都度メンバーさんに愛を込めた無茶ぶりもしつつ、気付けば講演も終盤へ。最後に、あるメンバーさんがマイクを握りながら、「認知症になって楽しみだった趣味も奪われてしまった。でも人生は一度きりだから楽しく生きないといけない。今はBLGにも参加し、以前の趣味に代わる新しい『何か』を探しています。皆さんも楽しいと思えることを1つでも見つけてください」と前を向いて語ってくださり、感動の嵐。講演後には、「そんな良いこと話したんけ? もう忘れてしまった」と笑っておられました。

講演で発表した活動の様子 農福環ボ連携での仕事 対価として謝礼をいただく
講演で発表した活動の様子

後日、お礼のハガキが届きました。そこには地域の方から、「自分が認知症になったらBLGきのこへ行きたい。安心して暮らせる場所があることを知ることができた。ありがとうございました」と書かれていました。当日参加できなかったメンバーさんからも、「まだこの活動を知らない人たちが多いから、いい機会になって良かったね。本当にお疲れ様」と声をかけてくれました。

メンバーさんの思いが、生で地域に届けられた瞬間。私たちが地域とつながり社会の中で生活するということがいかに大切なことなのかを肌で感じ、学ぶことができました。快く引き受けてくれたメンバーさんと、当日まで参加するか迷っていたメンバーさん。そして、ねぎらいの言葉をかけてくれたメンバーさん。それぞれの思いを共有しあって達成することができた貴重な活動となりました。ありがとうございました。

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