種まきから花を咲かせる! はじめまして@さいたま~BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、埼玉県さいたま市にあるBLGさいたま(福祉ネットワークさくら)からの報告です。
こんにちは、BLGさいたまの横山です。
この4月よりBLGに仲間入りしました。さいたま市浦和区で24年にわたり、介護サービス事業と障害者サービス事業を営んでいます。
1990年に「お互いに支えあうベストパートナーをめざします」という理念の下、グループリビング(高齢者共同住宅)を立ち上げました。自分の得意とすることを住人みんなで分担して支えあい、共に生活する場所。理想的な住まいでした。その後、介護保険が始まる2000年からは介護保険のデイサービスを併設。これがBLGさいたまの始まりです。
20年以上が経過し、理想的であったグループリビングの思いから少しずつズレが生じ、「このままではいけない! 何かが違う!」と100BLGに仲間入りしました。
現在、“ご利用者様=お客様”としてご対応してきたこれまでの「固定概念」を変えようと悪戦苦闘しています。「固定概念」=デイ到着時に上着や靴の着脱をおこないハンガーにかける、席までご案内、お好きなお飲み物をお好みの濃さ、甘さにしてお席まで運ぶ、トイレまでご案内し、お食事の配膳、片付けなど……まるでホテルや高級レストランのような接し方です。
この概念を変え、まずはメンバーさんの出来ることはご自分でおこなっていただこうとご提案しています。コートや靴を脱いで所定の場所に置く、自分の好きな飲み物を自分で入れ、トイレは一人で行く。食事のお膳も自分で取りに行き、食べ終わったら片付ける……など。
最初は戸惑いのあったメンバーさんも<一番戸惑っているのはスタッフです(汗)>、今ではこぼれても自分の好きな飲み物を自分の力で入れ、ひと口すすり「美味しい~!」と笑みを浮かべている。飲み終えた茶碗をメンバーさんが、横の席にいる自分では運べないメンバーさんに代わって運び終え、席に戻ると「ご苦労さん、ありがとう」の言葉がかけられる。メンバーさん同士のふれあいが見られ、今まで一度も自分から動くことのなかったメンバーさんが率先して働いている。そんな場面が多く見られるようになりました。
また、現在は脳トレ・体操・レクの時間と一日の活動が決まっていますが、これからはメンバーさんがやりたいことをやっていこうと思案中です。「体操はやりたくなくて新聞を読みたい!」も良いし、「働きたい!」というメンバーさんがいれば、洗車や近所の高齢者世帯の草むしり、広告投函といった仕事や目の前にある小学校で使う雑巾づくりなど、一緒に考えておこなっていきたいと思っています。
それにはまず、私たちスタッフ各々が長年身についてしまった支援の概念を変えていくことが先決。手や口を出さず、「じっと見守る=手持ち無沙汰=仕事をしていない」という概念を取り払い、今、ここに生きるメンバー同士として、この時間を共に過ごす。その訓練を日々、おこなっています。
「今までどうだったからこうしていこう!」「この支援は過剰か否か」など。例えば、「食事時間に机の間をスタッフが歩きながら見回る行為」に対しては、「見られている感じで食べづらいよね」「同じ目線にしてイスに座って見守ったら、違和感はないかも」など、ミーティングで一つひとつ時間をかけて話し合い、決めていきます。スタッフ同士、メンバーさんに対しての思いを共有しあう大切な時間となっています。
まだスタート地点にも立っていないBLGさいたまですが、自分らしく過ごせる場所で「やりたいこと」「楽しいこと」の種をまき、育て、“喜び”という花を一緒に咲かせたい。BLGさいたまから地域に花畑を広げていきたい!との大きな夢を持ち、前を向いて歩んでいます。