帰ってこられる“居場所”と“つながり”作り@みとよ〜BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、香川県三豊市にあるBLGみとよ(三豊市立西香川病院 小規模デイサービス「うちん家」)からの報告です。
BLGみとよの村上です。
今回、BLGみとよを利用されているAさんの入院、退院と利用再開を通して、メンバーさんにとっての「居場所作り」について感じたことを少しお伝えしたいと思います。
BLGみとよでは畑での活動があり、その日に採れた野菜を使って昼食を1品作る日が多くあります。
Aさんは近所の婦人会からも誘われるほどの料理の腕の持ち主で、昼食を作る活動に参加されることがあります。
調理活動に参加されると、よく切れ味が悪い包丁を指して「この包丁はよく切れる」と冗談っぽく言いつつ「研ごうか?」と自発的に包丁を研いでくれていました。研いだ包丁は切れ味が戻り、その包丁を使ってみた他のメンバーさんも「よぉ切れるようになったわ~」「包丁は誰ばり研いだら切れんようになるけん難しいんで~」と、Aさんの包丁研ぎを認めるほどでした。
そんなAさんですが、ある日BLGみとよの利用中、「今日はおかしい、体が言うことを聞かん」といつもと様子が違っており、デイサービスから緊急搬送となり、その結果脳梗塞が見つかって入院となりました。
その後入院、リハビリを経て、自宅へ退院となりました。
BLGみとよへの復帰も決まったのですが、コロナ禍で会うこともできず、脳梗塞の後遺症も残っているという情報を聞いただけで実際のAさんの様子も詳しくはわからず、今までできていた活動ができるのかどうかやご本人の状態など、復帰にあたり不安もありました。
そして、5月に退院されたAさん。
「わし、いつもここに座ってたな」と入院前に座っていたご自身の席に座られ、久しぶりの利用となるAさんを他のメンバーさんに紹介すると、他のメンバーさんたちからは「ここでお昼に横になってたじぃちゃんやな~」「そんな長いこと休んでたんかな?元気になってよかった」と声が上がりました。
また、Aさんも「わし、いつも来てたやろ?そんな長いこと、ここに来てなかったんかな?」と笑って話をされていました。
ちょうどその日はスタッフが釣ってきた魚があり、Aさんの復帰祝いも兼ねて魚料理を作ることとなりました。
魚を捌(さば)く際に包丁の切れ味が悪くなっており、そのことをお話しすると「包丁研ごうか~?」とAさん。
少し手を動かしにくそうにされていましたが、包丁を研ぐ目は真剣そのものでした。
研いだ包丁は以前と変わらずいい切れ味になっており、それを見たメンバーさんからも「じいちゃんが研いでくれたらよぉ切れるようになったわ~」と声が上がりました。
Aさんも「切れるようになったか?」と心配していましたがその言葉を聞き、「そりゃよかったわ」と満足そうな笑顔を見せていました。
長い休みの中でAさんとBLGみとよのつながりが切れてしまっているのではないかと心配していましたが、Aさんの言葉や他のメンバーさんとの会話を聞いて、BLGみとよがAさんにとっての「居場所」となっていたと感じることができました。
これからもBLGみとよがメンバーさんにとっての「居場所」となれるよう、メンバーさん同士のつながりや、やる気を大切にしていきたいと思います。