改めて教わった、人と人との関わりの大切さ@天草~BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、熊本県上天草市にあるBLG天草(高齢者福祉施設「ひかりの園」)からの報告です。
こんにちは、BLG天草の脇坂です。
前回お話させていただきましたが、BLG天草こと高齢者福祉施設「ひかりの園」には、施設に入居しても「わしらのことはわしらで決める」をモットーにした入居者自治会があります。その入居者自治会の自主財源確保のために始めた活動を報告させていただきます。
新型コロナウイルスの感染対策による休止を経て、主に園内での自治会コーヒー販売も再開して入居者自治会の活動も定期的にできるようになり、あわせてメンバーさんからの声も多く出るようになりました。
3月24日の販売日に、メンバーさんより「コーヒーだけでは売り上げが少ないので和菓子屋や洋菓子のセット販売をしてはどうか」、また「天候もよく、桜も咲いているので屋外での販売をしてはどうか」との提案がありました。
メンバーさんと一緒に近所の和菓子屋さんに行き、セット販売する和菓子を買いに行きました。皆さん商品を見比べ、販売価格を考えながら購入されていました。せっかくなので、その帰りに外食されて帰ってきました。
3月31日、花見もかねて屋外での販売を行うと、色々な事業所からいつもより多くの方が来店され、つながれる場となりました。メンバーさんも「いつもより多くのお客さんが来られて忙しい」、でも「よかったね」といったメンバーさんの声がありました。
3月26日に地域で開催されたマルシェにお誘いをいただき、入居者自治会として販売させていただきました。
今回は子どもたちの参加も多く見込まれるため、コーヒーだけでなく、ラムネやオレンジジュースなどのジュース類の販売も行いました。現在、実施しているコーヒー販売では、その単価の20%を付加価値として、地域貢献費にあてるようにしています。その地域貢献費を原資として、子どもに100円分のお菓子のプレゼントを行いました。
一昔前は、お年寄りが子どもをかわいがる姿をよく見ましたよね。かつてメンバーさんたち自身も子ども側として体験してきたような多世代と関わる場を、今度は自分たちが年長者としてこれから未来を担う子どもたちとふれ合うことで、つくっていきたい。そんな思いを込めた活動になります。
初めはほとんど買いにくる子がいませんでしたが、子どもたちが仲間を呼び、多くの子どもが買いに訪れてくれました。あわせてコーヒーの購入もあり、普段の倍以上の売り上げがありました。たくさん売り上げたこともよかったですが、メンバーさんと子どもたちが100円分のお菓子の計算を一緒にする姿もみられ、さらには地域の方と関わるメンバーさんの表情豊かな表情もたくさん見られました。参加されたメンバーさんからも「また機会があれば参加したい」、「子どもたちはやっぱりかわいいね」との声が上がりました。
マルシェ参加後の自治会役員会にて、コーヒーをセルフで販売するために「コーヒーサーバーの導入をしては」との提案がありました。業者の方にきていただき、メンバーさんが資料と真剣ににらめっこをしながら、導入する機械のことから始まり自分たちでコーヒー販売について考えていく。また、仲間と共有し一緒に考えていく。そのような展開になりました。
そんなある日、メンバーさんからは「新しく来た機械はコストもかかり、利益が取れない。買いに来てくれる方とのコミュニケーションが取れないのではないか」との声もいただいたのです。仲間づくり、関わる場であったはずのコーヒー販売の場を、手軽にいつでも飲めるようにと目先の楽さを考えてしまい、一番大切な「人と人との関わり」について忘れていたことを、メンバーさんから教えられました。ただ、メンバーさんからそのようなことを言っていただけるようになったのも、水平な関係がメンバーさんとの間で少しずつ築けてこられたからだと思います。
これからも1歩ずつメンバーさんが主体となり、話をしながら進めていきます。