まずは「自分がしたい」と思うことから@西尾~BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、愛知県西尾市にあるBLG西尾(デイサービスセンター「シルヴィー西尾」)からの報告です。
こんにちは、BLG西尾の尾崎です。
現在、BLG西尾ではメンバーさん主体で「野菜作り」「パンの販売」「ちゃぶ台や雑巾作り」「全国認知症キャラバンメイトマスコット制作」を行っています。
2009年3月から開始したデイサービスセンター・シルヴィー西尾で開設した、通常規模(地域密着型通所介護でなく)の通所介護(デイサービス)です。
2022年5月から100BLGの考えのもと、「今、利用されているメンバーさんの『出来る能力』を発揮してほしい」といった自立支援の想いや、「認知症状をケアするのでなく、その前に『人なんだ』という尊厳の意味探求をしたい気持ちなど、職員のたくさんの想いから参加しました。現在は1日約30人前後のメンバーさんと過ごしています。
さて、活動の話ですが、現在利用されているメンバーさん達が「●●の活動がやりたい」と具体的に言われ、冒頭にあるような活動がスムーズに継続できています、と言いたいところ……ではありますが、そうではありません。
BLGを開始したとき、職員は「100BLG=仕事」と思っていました。
「そんなこと、すぐできるわけない」。メンバーさんには「こんな仕事」「やらされ仕事」「仕事をやらなきゃ」……などと言われる方もいらっしゃいました。
しかし、今ではメンバーさん自身で活動を選び決めることが自然に始まり、その活動一つひとつに「自身が決めたこと」の責任を持っています。皆さんの若かったころの仕事ぶりや、趣味活動をしていたときの様子が思い浮かべられるような姿をたくさん見ることができています。サポートしている職員も、そのパワーにただただ感心するばかりです。
メンバーさん一人ひとり、BLG西尾に来る理由や達成したい目標は違います。
アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症、糖尿病やアルコール性などの疾患原因での認知症のほか、様々な疾患で要介護状態の方もいらっしゃいます。
決めた活動を短時間で忘れてしまう方や、「何かやりたい」という意欲が出ない方も利用されています。そんなときは皆さんならどうしますか?
席に座り、一緒に同じ方向を見て話をしながら交流、ときには隣のメンバーさんからの話も交えながら。すぐに「答え」を職員や他のメンバーさんが伝えるのではなく、話をしながら自分で決めたことを思い出すことが出来るようにしています。でも、思い出せないときもあります、どうしても気分が乗らずにやりたくないときもあります。そんなときこそ、辛いなぁと思うときに声をかけてくれる仲間(メンバーと職員)がいるところ=BLG西尾でありたい、と思います。
まだまだ道半ばですが繰り返し繰り返し、メンバーさん自身の想いや考えに「向き合う」のではなく、「一緒に寄り添い、話をしながら、ゆっくりでも一緒に歩いて進んで行けること」が出来たらと思います。
メンバーさん一人ひとりが住み慣れた西尾市で、要介護になっても認知症になっても、暮らしていて良かったなと思っていただけると信じてサポートしています。