認知症とともにあるウェブメディア

みんなが心開いて「素」になれる場所 

本年度も元気に始動! 皆の力で野菜作り@仙台~BLGの活動報告

キャベツに水やり

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、仙台市にあるBLG仙台(医療法人社団清山会 みはるの杜診療所)からの報告です。

BLG仙台の鹿嶋です。今年度もよろしくお願いいたします。
今年は桜が開花したと思いきや散るのも早く、BLG仙台でも急いでお花見に行きました。
新型コロナウイルスとの付き合い方も変わりつつあり、今年度はさらにメンバーさんと様々な活動に取り組みたいと思います。

さて、今回はみはるワーク(BLG仙台での「はたらく」に関わる活動)で活動されているTさんとのエピソードについてお話ししたいと思います。みはるワーク立ち上げ当初から参加していたTさん。首の骨がもろくなっており、医師からは「転倒・激しい運動は禁忌」と言われていました。そのこともあり、みはる農園にも足を運べずにいました。Tさんの口癖は当初から「首がなんともなければね」でした。そのこともあり、Tさんに畑の話をすることに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、「足腰は丈夫だから、手作業なら任せて」とも言ってくれていたのです。

そんなある日、同じくみはる農園で活動しているSさんと一緒に、Tさんが私の元へやってきました。その手には、手作りのカラスを模した鳥よけを持っていました。元々、手先が器用で発明家のTさん。きゅうりが鳥などにやられていることをSさんがTさんにぼやいていたので、作ってきてくださったとのことでした。その後も「1羽」では足りないとなり、みはるに用具を持参して製作作業を開始。最終的には4羽が作られました (名前はカラスなので「かーちゃん」だそうです)。

鳥よけの「かーちゃん」の作成風景
鳥よけの「かーちゃん」の作成風景

せっかくなので、Tさんにかーちゃんを設置してもらいたいという想いがあったところ、Tさんからも「是非行きたい」との話がありました。ご本人も首のリスクはもちろん承知しての希望でした。ご家族にもTさんの想いをお伝えすると、「どうしても日中1人の時は心配で、自宅ではいつも私がダメダメと言っているから。本当は父は庭仕事や畑も好きなので、みはるへ行くときくらいは」と前向きなお話をいただきました。そしていよいよ、かーちゃん設置を決行。Tさんは「いやー。やっぱりこういう空気の澄んだ所はいいね」と、山々を観ながら作業に取り組みました。

皆さんでお茶
皆さんでお茶

また、冬に植えたキャベツも無事に冬を越し、6玉収穫することができました。きっとTさんが作ってくれた、かーちゃんのお陰かもしれません。

キャベツの収穫
キャベツの収穫

最後は畑から見える山々を眺めながら、「次は何を植えようか」「やっぱり室内にいたらもったいない」。そんなお話が聞かれました。

認知症や何らかの障がいがあっても、やりたいことを諦めず、やりたいことを一緒に応援できる場所になれたらといいなと願いながら、
今年もメンバーさんと活動を共にしていきたいと思います。

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

認知症とともにあるウェブメディア