生きた教育
こんにちは、若年性認知症当事者のさとうみきです。
2月11日のこの連載「大阪での出会い」では、昨年12月に行われた大阪での講演会についてつづらせていただきました。
今回は、その翌日に行われた“語りの会”についてです。
わたしの初めての著書の出版直後でもあったため、事前にご相談させていただき
子どもたちとの交流会「認知症サポーター養成講座」の時間の中で、
わたし流の“生きた教育”と考えている語りの会で、
中学校3年生約200人にお話をさせていただく機会をいたくことがかないました。
受験生でもある、中学3年生からいただいた貴重な1時間を、
どんな話をすることに使わせていただこうかと、
わたしなりに事前にたくさん考え、この3年間の出来事からお話をさせていただきました。
そこで伝えさせていただいたことは、
いきなり“認知症”のことではなく、
コロナ禍で、思うような生活がなかなか出来なかっただろう中学生活。
〝がまん〟せざるを得なかった、部活動や仲間たちとの時間。
長引くコロナ禍で、思い描いていた中学生活とは
もしかしたら全く異なる3年間を過ごしてきたかもしれない
目の前にいる生徒さんたちに向けて、
わたしの経験から〝わたしなりの言葉〟を使って、語りかけ伝えました。
〝大切なこと〟
それは、この3年間でできなかったことが多い人もいるかもしれないけれど、
必ずチャンスはおとずれるということ。
そんな想いに寄り添った話を伝えました。
そして限られた残り時間の中で、少し足早に〝認知症〟についても
一言一言を大切に語りかけるようにお話をさせていただきました。
生徒さんたちは、しっかりと壇上のわたしを見つめ、耳を傾けてくれました。
そして、生徒さんたちは、一人ひとりわたしに声をかけてくれました。
「すごくわかりやすかったです! ありがとうございました」
「わたしも病気で病院に毎週…。大切な話をありがとうございます」
「また来てください」
そんな生徒さんたちの姿と、中学3年生のころの自分と重ねたり
または息子が中学3年生のころの様子と重ね、母として子どもを見つめるまなざしになったりしました。
それは…
どこか一歩離れた場所から自分の姿を見ているような不思議な感覚にもなりました。
生徒さんが講堂を出ていく姿を見つめながら、
背中にエールを送っているわたし。
〝みんななら、きっと大丈夫〟
〝大丈夫だから!〟
そんな想いがこみ上げてきました。
学校関係者のみなさま
そして、大阪市港区の関係者のみなさま、とても濃く楽しくやりがいのある1泊2日をありがとうございました。
また、みなさまにお目にかかれる日を楽しみにしております。
- *みきさんの著書『認知症のわたしから、10代のあなたへ』の詳細については、こちらへ