手術を終えた、わたしへ
こんにちは、若年性認知症当事者のさとうみきです。
昨年12月にはじめての自著を出版した後、
ずっと痛かった首の検査をしたところ、2月に入院、手術に向けた安静を要することとなりました。
今回はきっと手術を終えているであろう、“わたし”に向けてメッセージを書きたいと思います。
この連載が掲載されるのは、きっと2月18日。
予定がスムーズに行っていれば、17日に手術の予定なので、手術の翌日になりますね。
気管挿管の管はもう取れたでしょうか? 苦しそうですよね。
大切な差し歯は無事でしょうか?(笑)
全身麻酔は、人生においてはじめてのわたし。
今回、手術をするにあたって、1番怖かったことは、この“全身麻酔”でした。
そして、加えて不安だったのが、全身麻酔後の“せん妄”でした。
これまでに、首の痛みについては、何カ所かの病院に相談することができていました。
すぐ手術をしなくても、症状が改善されずに悪化が見られた時の手術でもよかったのかもしれません。
しかし、手術に踏み切ったのは、
今後、症状の悪化が見られたときに、私自身が手術に耐えられるかどうかという不安があったためでした。
それは、進行性の“認知症のあるわたし”であるからこその心配でもありました。
だからこそ、“いまならばできる”という“からだの声”を大切にしたいという思いがありました。
ただ、その後、“安静”の加減が難しく、わたしは閉じこもってしまいました。
人というのは、やはり楽な方へ、楽な方へと身を傾けてしまうのですね。
本当に早くて、あっという間に暗いトンネルの中へストンと迷い込んでしまいました。
それはまるで4年前に、
わたしが認知症という診断を受けたときのように……。
昨年末から年初は、閉ざされた暗いトンネルに“自ら”飛び込んでしまったかのようでした。
しかし、4年前と違うのは
わたしを待っていてくださる方々がいるということ。
暗いトンネルから顔を出したとき
そこには、たくさんの仲間やあたたかい人たちが笑顔で待っていてくださったということ。
だからこそ、改めて、わたしは手術をすることを決意いたしました。
もう少し体調に不安なく、元気に前向きな気持ちで活動を続けたい。
もしかしたら術後、思うように日常生活を送ることができる機能が多少失われてしまうことになったとしても……。
実はいま、“音声入力”で原稿を入力しています。
簡単なスマートフォンでの返信はできても、
以前のように思うように指を動かすのが難しく、
頭の中にあった言葉が空っぽになってしまう感覚が強まってきたため、
音声入力を覚えました。
原稿として編集部に提出させていただくので、
最終チェックはパソコンにて行います。
いまもベッドに横になりながら少しずつ、少しずつ入力をしては変換ミスを直し進めています。
「おーい、わたし! 目覚めていますか?」
「痛い、痛いと言ってリハビリをサボってはいけませんよ」
退院したら春からまた少しずつみなさんの前での活動を再開させていただけるように、
頑張ってリハビリしましょっ、わたし!
“大丈夫! わたしならきっとできる!”