認知症とともにあるウェブメディア

みんなが心開いて「素」になれる場所 

メンバーさんとクリスマスプレゼントの準備@仙台~BLGの活動報告

子どもたちへのクリスマスプレゼントの袋詰め
子どもたちへのクリスマスプレゼントの袋詰め

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、仙台市にあるBLG仙台(医療法人社団清山会 みはるの杜診療所)からの報告です。

BLG仙台の鹿嶋です。
2023年もどうぞよろしくお願いいたします。
BLG仙台では昨年、11月上旬~12月中旬にかけて新型コロナウイルスが再び猛威を振るいましたが、新型コロナウイルスに負けずメンバーさんと日々活動に取り組んでおりました。
今回は、2022年8月に開催された仙台市の宮城野区ボランティアセンターでの交流会でご縁のあった、「よりみちの会」代表の植村様との活動について紹介させていただきます。

BLG仙台では、同年4月から、仙台市宮城野区岡田新浜にある体験農園の1画をお借りして「みはる農園」という農業活動をしています。
ただ、収穫をしても、BLG仙台だけでは野菜を余らせてしまっていました。そうしたところ、「よりみち会」との出会いがあり、昨年10月からみはる農園で採れた野菜を、よりみちの会で開催している「のんびり食堂」(子ども食堂)で活用していただけることとなり、野菜の寄付がスタートしました。

サツマイモの収穫が終わり、みはる農園での活動も今期は一段落しました。
冬のみはるワーク(BLG仙台での「はたらく」に関わる活動)についてメンバーさんと話し合う機会をもった時、「冬だからと言ってなにもしないのはもったいない。」との声が上がり、しばらく休業していた段ボール回収を再開しました。
この段ボール回収は事業所やご利用者のご自宅で溜まった段ボールを回収し、業者へ運搬し換金する活動です。換金したお金をためながら、その都度使い道をメンバーさんとスタッフで話し合いながら活用しています。

段ボール回収
段ボール回収

段ボール回収の帰り道、メンバーさんとクリスマスの話題となり、子どもの頃の思い出話で盛り上がりました。

その時、今期の段ボール回収で余ったお金の使い道についてAさんに尋ねると、「そりゃ、子どもたちへのクリスマスプレゼントだ。」と即答でした。
事業所に戻り、私とAさんとでみはるワークの帳簿を確認しました。
何をプレゼントするか、予算と照らし合わせながらAさんと決めていきました。
「小学生は鉛筆だな」とAさんからリクエストがあり、絵柄も何種類も見比べました。
本来であれば直接店舗に行き、実物を確認したかったのですが、BLG仙台もコロナが流行していたため、インターネットを活用しインターネットで購入しました。
絵柄により価格が大きく異なるため、思うような組み合わせとはいきませんでした。Aさんにとっては新鮮で、「これで、買えたのか。」とネットショッピングに驚かれていました。

後日、鉛筆がBLG仙台に届き袋詰め作業を開始。
この日はAさんが利用日ではなかったため、女性メンバーの皆さんに袋詰めなどを行って頂きました。

力を合わせて袋詰め
力を合わせて袋詰め

「あら。かわいい袋ね。子どもたちにプレゼントするなら一肌脱ぐわよ。」と、とても心強い言葉をいただきました。
メッセージカードを切る人、鉛筆やお菓子を詰める人、封をする人や最終確認をする人に分かれて作業しました。
特に封をする作業が難しく、メンバーさん同士で「私がこうするから。あなたはこうして。」と声を掛け合う場面もありました。

お菓子の個数を確認
お菓子の個数を確認

12月24日無事に子どもたちへのプレゼントと、10月に収穫したさつまいもをお渡しすることができました。

BLG仙台からよりみちの会へプレゼントをお渡ししました
BLG仙台からよりみちの会へプレゼントをお渡ししました
よりみちの会のビンゴ大会の様子
よりみちの会のビンゴ大会の様子

後日、よりみちの会代表の植村様からご連絡いただき、当日参加された子ども達も喜んでいたとのコメントと共に写真をちょうだいしました。

携わってくださったメンバーさんにお伝えすると、「来年も鉛筆をケチらないようにしないとな」といった意気込みが聞かれました。

よりみちの会での食事風景
よりみちの会での食事風景

まだまだ新型コロナウイルスの対応もありますが、負けずにメンバーさんと活動に取り組んでいけたらと思います。

最後に植村様からいただいた「よりみち~のんびり食堂」への想いについてのコメントをご紹介したいと思います。

恐る恐る活動を始めた私たちですが、おかげさまで子ども食堂を始めてから3年半たちました。
コロナ禍をきっかけに、子ども食堂を開催するだけでなく配食(パントリー)も行うようになり、会場の確保や、資金・食材の調達、協力してくださるボランティアさんの募集、広報等の問題を抱えつつも、子ども達の笑顔のために頑張っております。
安定して活動を継続していくためには、経済的な基盤や人とのつながり、周囲の皆様方のご理解、ご協力が欠かせません。
ちなみに、現在ご支援いただいているのは、仙台市社会福祉協議会、フードバンク、みやぎ生協、全国こども食堂支援センター、みやぎこども食堂ネットワーク、その他個人、団体、企業、BLG仙台などです。
資金面では、これまで主に行政からの助成金で賄ってきましたが、今年度でその制度も終わりそうで、何とか継続してもらえるよう複数の子ども食堂が協力して市に働きかけているところです。
子ども食堂は営利事業でなく、また普段は別に仕事をしている者も多いので、本当に協力してくださる皆さんのお気持ちで活動しております。未来を担う子ども達が少しでも安心して育つことができるよう、子ども達の笑顔のために、私共「よりみちの会」では、これからもできることを地道に重ねていきたいと思っております。

【よりみちの会 趣意】
子ども食堂とは、地域の大人が子どもに無料あるいは安価で食事を提供する、子どもが安心して過ごすことのできる場所として始まった、民間発の取り組みです。
最近は、地域の全ての子どもや親、地域の大人など、対象を限定しない食堂も増えています。中には、食堂という形を取らずに、子どもが地域とつながり健やかに育つ環境づくりを目指して、子ども達が放課後に自宅以外で過ごす居場所の中で食事を出しているところもあります。
私共「よりみちの会」は、仙台市内に住む18歳未満の子ども達や高齢者の皆さん等に食事やレクリエーション等を提供することによって、孤立しがちな子どもや家庭と共に地域のコミュニティーづくりを行っていくことを活動の目的として発足いたしました。
活動を支えるスタッフには、調理の他様々な趣味や特技をもつユニークな人達がいます。参加した子ども達をはじめ、皆さんで一緒に食事をしたり、楽しく遊んだり学んだりしながら、きっと多くの人達と新しいつながりを作り広げていくことができることと思います。
よりみちの会での調理風景
よりみちの会での調理風景

あわせて読みたい

この記事をシェアする

この連載について

認知症とともにあるウェブメディア