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介護施設で、あるある探検隊♪

きよし師匠は認知症にいい、という新説か?!あるある探検隊の活動報告14

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま介護施設をまわっています。テレビや劇場の一般客相手と違って、施設の利用者さんたちを笑顔にするのは、やっぱり難しい! そんな2人が見つけた、今日の介護現場の“あるある”は――。

レギュラーと介護施設のみなさん
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!

「レギュラーですー」
「西川ですー」
「松本ですー」
「よろしくお願いしますー!」

介護施設でも、普段の営業でも、そんな掛け合いでステージを始めるレギュラーの2人。とある介護施設の介護レクリエーションでは、なぜかこの掛け合いが大盛り上がりのきっかけになった。

スイッチを入れたのは、デイサービスで施設に来ていた高齢のご婦人。西川くんの「西川です−」という自己紹介を聞いて返した、「西川きよしさんですか?」というひと言だった。

まずは、「いや、僕は違うんですー。西川晃啓です!」と返して笑いを取った西川くんだったが、その後も松本くんが「西川くん」と呼びかけるたびに、同じご婦人から「西川きよしさんですか?」とツッコミが。

「いや違うんです。兄弟でもありません」
「師匠でもありません」
「いや、親戚でもありません」
「むしろキラい……いえ、尊敬してます!」

その都度、ギャグで返していた西川くんも、いよいよ最後はやけになって、「小さなことからコツコツと!」と西川きよし師匠のモノマネを始める始末。

ところが、これが起爆剤になって会場がみるみる活性化。利用者たちからも「知ってるー!」「テレビで見たことあるわー」と次々と声が挙がり、そこからその場は爆笑に次ぐ爆笑になったとか。

松本くん しかし、あのときは楽しかったな。僕らもスタッフさんも、もちろん利用者さんも、みんなお腹が痛くなるほど笑ったもんな。西川くんがきよし師匠のマネをしたとたん、それまで静かだった利用者さんたちの“言葉のスイッチ”が入ったやんか。

西川くん パチンというスイッチの音が聞こえた気がしたね。ほかの利用者さんたちも、最初はどう対応していいかわからへんかったんやろうな。しばらく微妙な反応が広がっていたんだけど、その利用者さんがあまりにしつこく「きよしさん、きよしさん」と言わはるから、これは人を笑わせようとする確信犯なんや!という感じになって。あちこちから、「あー、きよしさん!」とか「知ってる!」なんて声が挙がってな。

松本くん 何度も「きよしさん!」と言っているうちに、“ツッコミ病”がみんなに伝染したってことやね。最後は西川くん、完全に勢いに押されてたよ(笑)。

西川くん しかし、僕も心に誓ったよ。こうやってみんなが食いついてくる、きよし師匠のようなビッグネームに、僕らもならなあかんなと。西川と言えば「きよし」、きよしといえば「小さなことからコツコツと」。これはもう、認知症にも効果があるとされる「回想法」やんか。西川といえば、「あるある探検隊」くらい言われなきゃまだまだや。僕も、いつかみなさんの回想法のネタになりたい……。

松本くん 盛り上がるきっかけは、思わぬところにあるってことやね。介護レクリエーションの現場では、参加者のどんな小さな反応も無視しちゃいけない。こうやって、それまで静まりかえっていた会場が、何かをきっかけに雪崩を打ったように大盛り上がりすることは少なくないもんね。

西川くん とっかかりを見逃さずにちゃんとつかめば、スイッチが入る可能性がある。1人、2人が話し出すと、とたんにみんな話し出すやん。それで思い出すのは……埼玉・小手指の介護施設で、名産品を聞いたときの話やね。「里芋」と言う利用者さんがいたから、「里芋って、なんですか?」と聞いた。自分としては里芋が特産だと言うから、「〇〇里芋みたいな名前はないんですか?」という意味やったんやけど……。

松本くん 「里芋ってどんな芋?」という意味に取られたんやね。「そんなことも知らんのかい!」と、みんなの集中砲火を受けて、会場が一気にざわつき始めた。みんな口々に、里芋ってね、と教えてくれてたもんな。で、このチャンスを逃しちゃいけないと、西川くんがわざと里芋について掘り下げる。

西川くん 「里芋ジュースはないんですか?」と聞いてみたり、「ねばねばした芋」と教えてくれる利用者さんがいたから、「腐っているんじゃないんですか?」と返したり(笑)。ぐいぐいボケて、笑いをいただきました、はい。

松本くん ここは、しつこいくらいがええんよね。里芋がネタになるなんて、誰も思いつかないやん。でも里芋ネタをゲットしたら、こっちのもの。とにかく食いついて、一点突破でめちゃめちゃウケるもんな。

西川くん 介護レクリエーションは漫才とちがって、会場と掛け合いしながらつくるから、こういう突発的なことが起きやすいんやね。こっちも種まきながらしゃべって、どこかで回収できたらいいな、みたいな。

松本くん 芸人のテクニックとしても、もともとテレビCMとかみんなの共通認識があるネタを持ち出すとウケやすい、というがあるやん。しかも、それは“濃い”ほうがウケやすい。学校の先生のモノマネとか。その意味では、「里芋」は地域にとって濃いネタやからね。

西川くん 松本くん、たしかにそれはアルな! でも、里芋ジュースなんて濃すぎてストローを通らへんわ!

(編集協力/ Power News 編集部)

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