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認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

バター香るとうもろこしで「再会おむすび」認知症の母が喜ぶ毎日ごはん

フードライター大久保朱夏さんが、認知症のお母さんとの生活のなかで見いだしたレシピを紹介します。甘くて、弾ける食感が楽しいとうもろこしは、残暑の疲れを癒やします。

※料理は普通食です。かむ力やのみ込みに配慮した介護食ではありません

とうもろこしごはんのおむすび

母は3人姉妹の長女で、妹が二人いる。厳しい暑さが残る日に、二人は連れ立って母に会いにきてくれた。それぞれの住まいは調布と八王子。横浜の実家に到着するまで、電車とバスを乗り継いで2時間以上かかる。二人とも介護と孫の世話に忙しく、会えるのは年に1、2回だ。
しばらくぶりに会う妹たちの顔を母が覚えているか、心配だった。「どちら様ですか?」と質問したり、ヘルパーさんと間違えたりしないだろうか。
私は4人分の昼食を作りながら、おばの名前を何度も口に出して、「今から会いに来てくれるって」と言ってみたが、母の反応はそっけない気がした。
玄関のチャイムが鳴り、「暑い暑い」と汗をふきながらおばたちが家に入ってきた。母はしばらく沈黙した後、「ここへ来るまで何時間かかりましたか?」と、2人に尋ねた。
おばたちはきっと、自分のことを忘れられているのではと不安な気持ちで電車に揺られてきたはずだ。母に所要時間を聞かれたことで「私のことを覚えていてくれたんだ」と思ったのだろう。二人の表情に安堵の色が浮かぶのがわかった。
この日の献立は、とうもろこしごはんのおむすび、さけの揚げ春巻き、夏野菜のミネストローネ、にんじんのマリネ。おばたちは暑くてそうめんばかり食べているのではないかと思い、おむすびにした。「こんなにおいしいものを食べていたら元気になるわよ。私なんて毎日そうめんよ、ねえ」と、おばたちは笑う。やっぱり。
晩夏の思い出の味を紹介したい。

とうもろこしごはんのおむすび

とうもろこしはバター炒めにしてから、炊きたてのごはんに混ぜます。バターの風味とコクで食欲がアップ! しょうゆは薄口を使うと、色がきれいに仕上がります。来客のときは小さめに作ると、お腹の好き具合で量を調整できるので喜ばれます。

材料 2人分

温かいごはん 茶碗2杯分
とうもろこし 1/2本(60g)
バター 10g
しょうゆ(できれば薄口しょうゆ) 小さじ1/2

作り方

  1. とうもろこしは皮ごとラップで包んで電子レンジ(500W)で5分ほど加熱する。あら熱がとれたら皮をむき、縦にそぎ切りにする
  2. フライパンにバターを入れて弱火にかけ、とうもころしを炒め、しょうゆをかける
  3. 温かいごはんに2を混ぜて、三角形に握る

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