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介護施設で、あるある探検隊♪

イマドキの節分は鬼が進撃する。お風呂にも? あるある探検隊の活動報告3

「あるある探検隊」のリズムネタで一世風靡したお笑いコンビ・レギュラーの松本くんと西川くんは、いま介護施設をまわっています。テレビや劇場の一般客相手と違って、施設の利用者さんたちを笑顔にするのは、やっぱり難しい! そんな2人が見つけた、今日の介護現場の“あるある”は――。

写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!
写真は毎回、レギュラー公式マネジャーがスマホで撮影した「渾身」の1枚です!
♪タンタタンターンタンタターン……♪
節分の日、都内の小規模デイサービスの集会室に大音量の音楽が流れた。人気アニメ「進撃の巨人」のオープニングテーマ曲だ。続いて登場したのは、その主要キャラクターである“人食い巨人"のお面をつけた施設スタッフ。
「巨人が来たぞ〜」
そんなかけ声で10人ほどの入居者たちが、新聞紙を丸めたボールを"巨人"に容赦なく投げつける。
「鬼は外〜! 鬼は外〜!」
逃げ回る鬼……いや、巨人。巨人はほかのスタッフに羽交い締めにされると、入居者たちの新聞ボールの集中砲火を受けてあえなくギブアップ。
だが、続いて別の鬼役が登場する。こちらもはや「人」でもない。巨人のお面をかぶせたラジコンカーだ。
1人ひとりの入居者のまわりを「こっちだよ〜」と言わんばかりにぐるぐる回ったり、向かってきてはクルリと反転したり、茶目っ気いっぱいに動きまわる。その標的に向けて一心に新聞ボールを投げつけるお年寄りたち……。
そんな“イマドキ感"満載の斬新な豆まきに、思わず顔を見合わせるレギュラーの2人だった。

西川くん この日は僕らのレクリエーションが終わったあと、「よかったら節分イベントに参加していってください」ってスタッフさんに言われてな。

松本くん てっきり利用者さんの年代に合わせた、よくある節分やと思ったけどな。スタッフが鬼に扮して利用者さんに豆を投げつけてもらう、みたいな。それがいきなり「進撃の巨人」ときたからね。

西川くん スタッフさんも若かったね。20歳前後の若いスタッフが3人くらい。

松本くん なんと言っても、そのスタッフ3人がめちゃ楽しそうやったやろ。仕事っていうより、自分たちが考えて、自分たちなりの色をつけて、特色あるイベントをやって楽しんでるなと思った。もちろん利用者のおじいちゃんもおばあちゃんも、鬼だろうが、巨人だろうが、関係なく楽しんでたけどな。

西川くん おじいちゃんたちも、豆まきには似てるけど、いま流行してる「巨人」なんやなっていう認識はなんとなく持ってる感じだったね。

松本くん 僕らがレクリエーション介護で習ったのは、たとえば神経衰弱なら、ベーゴマの写真と「ベーゴマ」という名前でワンペアとか、羽子板の絵と「はごいた」という名前でワンペアみたいな、昔のことを回想してもらうパターンが多かったやろ。でもこうやって、若い世代の情報も吸収しましょうよっていう方法もあるんやな。

西川くん これで、テレビから「進撃の巨人」のテーマが流れたら、あそこにいた利用者さんはみんな、反応しはるやろうね。「鬼やー」って。

松本くん なんでもかんでも利用者さんの世代にスタッフが合わせるんじゃなくて、若いスタッフの世代に利用者を引っ張り込むのもアリってことやな。20歳くらいのスタッフさんが「こっちのフィールドで楽しみましょうよ」というノリでやっていたのが、いい感じやった。

西川くん スタッフさんもストレス発散になるし、利用者さんにとっても、新しいものに触れて頭を刺激するのはアリかもしれへん。

松本くん とくに少人数の施設だったというのも大きいね。大きい施設とは雰囲気がガラッと違って、そのイベントの様子を見てたら、ほんまに友だち感覚。

西川くん たしかに。レクリエーション介護の勉強を終えて、いちばん最初に見学みたいな感じで行ったところがここだったから、とくに印象に残ってる。

松本くん そうやった、そうやった。デイサービス施設ということもあるんだろうけど、学童保育の先生と生徒に近い関係だったのが意外だったね。おしゃべりしに来てるみたいな。

西川くん 思い出したわ。この日、いたね。お風呂に頑として入らない利用者さんが。

松本くん 家族に「今日は絶対にお風呂に入れてください」って頼まれてたんやろうね。まずスタッフの男性リーダーが、やさしく言いに行った。「お風呂入りましょ」って。そしたら「私は入りません。汚れてないからいいんです」と拒否。そのあとしばらくして、別の女性スタッフが、「お風呂入ってキレイにしましょう」と声をかけたけど、「イヤです」「入らないってさっきも言ったでしょ」って相当機嫌を悪くしてたやん。

西川くん ひとりでプイッと部屋の隅っこに行っちゃってね。そのあとスタッフさんが家族に電話してはったねー。「入ってくれないんです」って。でも、「そこをなんとか」ってお願いされたんやろう。そうこうするうちに、豆まきイベントが始まって……。あ、でもその利用者さん、しっかり新聞ボールは投げてたやろ。足元に転がってきたボールを拾って。

松本くん そのあと今度は別の女性スタッフが行ったら、なぜか素直にお風呂に入ることになった。1回のターンでなんとかするんじゃなくて、時間を置いたり、言いに行く人を変えたりして、じっくり利用者さんにお願いを聞いてもらうっていうことやね。そもそもアットホームな小規模施設だからできることだろうけど、スタッフもちゃんと頭が柔らかいなって、感心しました。

西川くん やっぱりあのボール投げも、気分の切り替えになったとか?

松本くん いや、あの一球で汗かいて、お風呂入らなあかん、って思い直したんとちゃうの?

西川くん 松本くん、それはたしかにアルな!

(編集協力/ Power News 編集部)

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