好きなことやってもだんねぇざ!No3@大野~BLGの活動報告

認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、福井県大野市にあるBLG大野(大野きらめき)からの報告です。
こんにちは! BLG大野の福野です。
3月に活動報告をしてから早7カ月が過ぎましたが、今回は夏の活動をご紹介します。
福井県大野市にある「BLG大野」は3年目の夏を迎え、もうすぐ101歳のKさんともうすぐ100歳のTさんを含む9名のメンバーさんたちと生活を共にしています。

今年の夏は、山間部に位置し福井県内でも比較的涼しいはずの大野市でも、連日36℃を超える記録的な猛暑でした。しかし、暑さに負けることなく作物の水やりや世話を朝晩欠かさず続けてくださったHさんのおかげで、野菜が立派に育ちました。Hさんの責任感とパワーには頭が下がります。
野菜を育てることで役割をもち、収穫した野菜で料理を振舞ってみんなに喜んでもらうことが生きがいになっていると話されているHさんですが、実は冬の間に体力が落ちてしまい「畑仕事ができんかもしれんなぁ~」と不安を口にされていたのです。
しかし、雪解けが始まる季節になると畑の段取りのことで頭がいっぱいになり、夜も眠れなくなるほど楽しみになってきて「やっぱり体が動ける間はがんばりたい」と、畑を続けることを決意されていました。
春頃、大きい畑にジャガイモとサツマイモを植えましたが、予想以上の収穫になり、軽トラックの荷台にあふれるほどのジャガイモを見て、思わず笑みがこぼれます。
「うまいもん食わしたるでな~」とHさんが育てた野菜で、おやつにトウモロコシを茹でたり、昼食に「きゅうりの酢の物」、夕食には「芋の煮っころがし」や「ナスのみそ田楽」を作ったりしてみんなに振舞ってくださいました。
ジャガイモを収穫した後の畑に、白菜や大根の種を撒いたので、これから秋から冬にかけての収穫も楽しみのひとつになっています。

また、「BLG大野」のメンバーさんが、生協の宅配ステーションでのお仕事を始めてから1年半が経ちました。組合員さんとも顔なじみになってきたため、週1回のお仕事であいさつや言葉を交すことが楽しみになってきています。
もうすぐ100歳になるTさんも、足が痺(しび)れて歩くこともつらい毎日なのですが、お仕事の時間が近づくと身なりを整えてステーションに出向かれます。
「この歳で、お仕事ができると思ってなかったので楽しいです」と意欲的で、仕事中は足の痛みも忘れてしまうそうです。
他にも、たくさん採れたジャガイモを袋詰めにして宅配ステーションで販売しました。組合員さんが「おんちゃんが作ったんか?」とHさんに声をかけてくださいます。
裏の畑で収穫したばかりのきゅうりを「たくさん採れたで、これ食べて」と、組合員さんにおまけをするHさんのいきいきとした姿を見て微笑ましく感じました。
ジャガイモが完売すると「まさか全部売れると思わんかったわ」と嬉しそうな顔が見られました。
そして嬉しい顔といえば、お給料日です。毎月25日にお給料をいただく喜びはたまりません。お給料が貯まってきたので「何に使おうかなぁ~」とみんなで相談をしていると「お寿司が食べたいね」「カツカレーが好きやわ」とメンバーさんからどんどん声があがります。
地元の美味しいおやつを買いに行ったり、外食に出かけて好きな物を選んで食べたりという何気ないことですが、メンバーさんたちの楽しみになっています。

この他にも、市内の図書館から「図書館まつり」に使う飾りを作るお仕事の依頼をいただきました。自分たちが手掛けた作品が飾られているのを見ると、「お役に立てることができた」と実感ができメンバーさんの喜びに繋がっています。
今回はメンバーさんの活動をご紹介しました。これからもメンバーさんの好きな事、やってみたい事、そしてみんながワクワクするような事に一緒に取り組み、ご報告いたします。
