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隣家の高齢者が夜間も窓を開けっ放し 防犯面が心配【お悩み相談室】

住宅街、Getty Images
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認知症介護指導者の上村尚之さんが、高齢者や介護の様々な悩みに答えます。

Q.隣家に一人暮らしのおじいさんが住んでいるのですが、夜間も窓を開けっぱなしです。犯罪に巻き込まれないか心配なのですが、普段あいさつをしても軽い会釈くらいしか返ってこないので、指摘するのは勇気がいります。どんなふうに声をかければいいでしょうか(40代・女性)

A.私は町内の認知症地域支援推進員としても活動し、地域の高齢者の支援をしています。だからこそ、相談者のように隣家や地域のことを気にかけてくれる方というのは、本当にありがたい存在だと感じています。

防犯意識というのは、人によっても地域によっても全く違うので、どう声をかければいいのか、難しいところです。確かに「夜も窓が開いていて危ないので閉めてください」というようにいきなり指摘、注意されても、おじいさんはピンとこないかもしれませんし、拒否反応を示すかもしれません。声をかけるとしたら、注意するのではなく「いつも窓が開いているけれど、大丈夫ですか? 私、心配になりまして」というように、ご自身の心配な気持ちをそのまま伝えるほうが、受け入れてもらいやすいと思います。その会話をきっかけに、挨拶をしっかりしてくれるようになったり、世間話ができるようになったりする可能性もあります。

一方で、たとえ声がけの仕方を工夫したとしても、気まずい関係になってしまうことも考えられます。隣同士ですから、なるべくそうなるのは避けたいですよね。声をかけるのに勇気がいる場合などは、地域包括支援センターに連絡するのも1つの方法です。地域でさまざまな福祉サービスを実施している社会福祉協議会でもいいと思います。どちらも地域の事情に詳しい民生委員などとつながっているので、もしかしたら隣家のおじいさんの情報ももっているかもしれません。「隣の家が夜間も窓を開けっぱなしで心配なので、気にかけてもらえますか?」と頼めば、様子を見に行って声をかけてくれると思います。

特におじいさんが、秋冬の寒い時季にも窓を開けているとなると、心配です。暑い時季であれば、冷房が苦手な人が夜間に窓を開けるのは十分にありえることなのですが、寒いのに窓を開けている場合は、季節の感覚がない、あるいは窓を開けていることを忘れてしまっているといったことが考えられるので、認知症が疑われます。この場合は、最初から地域包括支援センターに任せたほうがいいかもしれません。

一人暮らしの高齢者が増えたり、地域における人間関係が希薄になっていたりして、支援が必要なはずの高齢者の孤立が問題になっています。各地域では見守り活動に取り組んではいますが、限界もあります。相談者のような気づきが、地域全体を守ることにつながると思います。

【まとめ】夜間も窓を開けっぱなしの隣家のおじいさん。どう声をかければいい?

  • 「窓が開いているので閉めた方がいい」と注意するのではなく、「窓が開いていて心配です」と自分の心配な気持ちをそのまま伝える
  • 声をかけるのに勇気がいる場合や寒い時季も窓を開けている場合は、地域包括支援センターや社会福祉協議会に連絡する

 

 

≪お悩みの内容については、介護現場の声を聞きながらなかまぁる編集部でつくりました≫

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