近所の高校生たちと交流中@八王子~BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、東京都八王子市にあるBLG八王子(DAYS BLG!はちおうじ)からの報告です。
こんにちは!
BLG八王子スタッフの谷村です。
今回は、昨年度から行っている近所の高校生たちとの交流についてご紹介します。
BLG八王子から歩いて10分くらいのところに、私立の中高一貫校があります。
普段、メンバーさんたちがショッパー(地域新聞)をポスティングしていると、ちょうど配布エリアと通学路が重なっているので、登下校などで学校を行き来する生徒たちとよく出会います。「ご近所だから交流できたらいいよね」という声がメンバーさんたちから上がるようになりました。
そこで、思い立ったら即行動ということで、BLG八王子からいきなり学校の代表番号に電話をしたところ、「ぜひ一度話しましょう」と快諾していただき、昨年度から交流がスタートしました。
交流の目的は、ご近所どうしの助け合いの輪を広げ、誰もが暮らしやすい地域を作ることです。メンバーさんたちは自分たちが安心して暮らせる地域にしたい。生徒のみなさんは近隣地域に貢献したい。そうしたそれぞれの思いが出発点となりました。
昨年度は、「共同作業をすることで相互理解できるのでは?」という考えのもと、学校の花壇を一緒に整備することにしました。しかし、生徒のみなさんは普段関わる大人といえば学校の先生や親くらいという人がほとんどです。メンバーさんたちとどう接したらいいのかわからず戸惑っているようでした。メンバーさんたちも慣れない学校という場で、普段関わることのない高校生たちに緊張している様子。なかなか一緒に作業をするという感じにはなりませんでした。
そんな反省を踏まえ、今年度はまずは相互理解を深めることを大切に取り組んでいこうということになりました。生徒会役員4人とメンバーさんたち、そして生徒たちの通学エリアの地域包括支援センターの職員さんたちの協力もいただきながら、毎月1回交流を行うことになりました。
最初の数回は、認知症について共に学びました。初回では、「認知症の方にどう接したらいいかわからない」と言っていた生徒たちが、「認知症の方だからって考えるのではなく、その人個人を知り、接すればいいんだとわかった」「認知症とひとくくりにするのではなく、それぞれの人の個性がまずあるんだと思った」と話すようになりました。当初はメンバーさんとのコミュニケーションもぎこちない感じがありましたが、知り合いのおじちゃん、おばちゃんといった自然な関わりへと変わっていきました。メンバーさんたちも、最初は高校生の存在に緊張している様子がありましたが、「いつも来ているよね」「元気をもらえて楽しい」「次はいつやるの?」と積極的に交流するように変わっていきました。
メンバーさんたちと高校生たちが共に時間を過ごすことで、知識としてあった認知症という枠組みの中で表面的にメンバーさんたちを理解しようとしていた高校生たちが、メンバーさんたちを同じ人間として、お一人お一人個人として見るように発言や対応などがガラッと変わる瞬間に立ち会い、私自身も、知識を学ぶのではなく、共に時間を過ごすことこそが認知症への正しい理解の促進につながるのだと痛感しました。
交流が進んでからは、メンバーさんたちと高校生たちが互いにやりたいことをやろうということになり、秋の文化祭でカフェを共同出店する計画が持ち上がりました。今年度は企画が出てきたのが文化祭直前だったので間に合わなかったのですが、来年度の実現に向けて計画を詰めていく予定です。
さて、学校は後期がはじまり、生徒会役員は代替わりになります。メンバーさんたちとの交流で気づいたことや感じたことを、生徒たちは自分の言葉で新しい生徒会役員たちに伝えてくれています。
9月末に、新旧生徒会役員の皆さんとメンバーさんたちは、一緒に、BLG八王子の活動の一つである靴べらを作りながらこの取り組みの引き継ぎを行います。これからは、深まった相互理解を踏まえて、目的とするまちづくりへと一歩踏み出していきたいと思います。高校生たちとメンバーさんたちの取り組みをぜひ温かく見守っていてください。