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認知症フレンドリー事業

「老い」との向き合い方を考えるヒントに 品川区役所

会場は品川区中延の荏原文化センター。VR体験コーナーは会場の別室に設けて実施しました
会場は品川区中延の荏原文化センター。VR体験コーナーは会場の別室に設けて実施しました

朝日新聞社は認知症の人への理解を含め、ともに暮らす社会を考える「認知症フレンドリー事業」を展開しています。自治体や企業、学校などから依頼を受け主催者のみなさんと啓発活動に取り組んでいます。その取り組みの一端をご紹介します。

認知症の対策事業をさらに推進しようと、品川区高齢者地域支援課内に認知症サポート係が発足したのが2016年のことでした。
普及啓発事業にも力を入れ、たとえば19年には、母親を自宅で10年介護してきた経験をもつエッセイストの安藤和津さんに「介護についてアドバイス」を聞く講演会を開催し、区民約300人が集まりました。
その後も区内外の認知症当事者のみなさんに本人の思いを語ってもらったり、認知症専門医に対処法などを話してもらったりする講演会を開くなど、年度内に3回のイベントを定期的に実施してきました。

一方、区としては一定の成果は上げていると考えていたものの、来場者は関心層に限られがちではないかと分析していました。そこに新型コロナウイルス感染症の影響で、人が集まる講演会は縮小せざるを得ない状況になりました。

人生後半の向き合い方  自ら考えるイベントに

ようやくコロナが落ち着き出した22年後半ごろ、同サポート係担当者の齋藤友理さんは心機一転、「体験型で自分事として考えてもらえるイベント」を調べはじめました。ちょうど、朝日新聞社が提供する「瀬戸内寂聴 自主上映会プロジェクト」の受け付けを開始したのも同じタイミングでした。瀬戸内寂聴さんの映画上映会と、認知症VR体験会などを組み合わせたイベント内容です。

「『認知症がテーマ』と聞くと、『ひとごと』と思ってしまう人もいますが、『人生後半の老いとの向き合い方』のなかに位置付ければ、広く受け入れるのではないかと考えました」(齋藤さん)

導入は決定したものの、コロナを不安に感じる区民もまだ多いだろうと予想し、当初は定員50人の計画でした。ところが区報などに掲載したところ反響が大きく、すぐに定員オーバーに。結果、300人に増員することになりました。イベントは23年2月24日に開催され、当日は天候もよく満席でした。運営を担った同係・有田泰子さんは「上映中には会場から笑い声が漏れてきたり、VR体験に感心してもらったり、参加者の満足度は高かったようです」と話します。

区は現在、第8期の「介護保険事業計画」を推進中です。「認知症の理解の推進」は八つあるプロジェクトの筆頭です。前出の齋藤さんはこう話します。
「認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らせる街を目指しています。『誰のための施策なのか』を軸に今後も取り組んでいきたいと思います」

■開催日 2023年2月24日
■イベント名 「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」+認知症VR体験会
■実施内容 寂聴映画上映会+認知症VR体験会

※「認知症フレンドリー事業」の詳細はこちら

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