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認知症フレンドリー事業

市内の民生委員全員がともに学ぶ機会に 枚方市民生委員児童委員協議会

会場は枚方市新町の枚方市立総合福祉会館「ラポールひらかた」の大研修室。みなさんの熱気が伝わりました。
会場は枚方市新町の枚方市立総合福祉会館「ラポールひらかた」の大研修室。みなさんの熱気が伝わりました

朝日新聞社は認知症の人への理解を含め、ともに暮らす社会を考える「認知症フレンドリー事業」を展開しています。自治体や企業、学校などから依頼を受け主催者のみなさんと啓発活動に取り組んでいます。その取り組みの一端をご紹介します。

枚方市民生委員児童委員協議会は、民生委員制度創設100周年記念事業として、2016年5月から地域での「見守り訓練」を開始しました。枚方市は25年に65歳以上人口が29%を超えるといわれています。警察や介護施設など関係機関と連携し、認知症の人の役や、チラシを配布する啓発係などの役割を決めて、市内全域を歩きながら市民に声かけをしてもらう取り組みです。見守り合う地域づくりや、民生委員・児童委員の活動を知ってもらうことが目的です。毎年の恒例行事でした。

ところが、19年12月に3年に1度の委員改選期を迎えた直後から新型コロナウイルス感染症が拡大し、翌20年3月の緊急事態宣言で活動がストップしました。会議や研修をはじめ、普段の見守り訪問活動がままならない状況になりました。地域では感染を恐れて家から出られず引きこもりがちな高齢者が増え、認知症が疑われる事例も多くなっていました。

委員全員が参加申し込み 「活動に生かせる」の声

「訓練をできる状況ではないが、この期間に民生委員として認知症に対する理解を深める研修ができないか」と声が上がるようになり、朝日新聞社の「認知症フレンドリー講座」の導入が決まりました。

講座は22年9月12日から3日間連続で計7回開催。1回あたり60人から90人が参加しました。もともと身近で関心の高いテーマではありましたが、研修自体が3年ぶりの開催ということもあり、市内にいる約480人の委員ほとんどが受講を希望しました。
受講後の委員からは「認知症に関する知識だけでなく、認知症の人がどんな気持ちで生活されているのかを想像することができる研修で、これからの活動に生かせそうです」との感想が聞かれました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で一度はストップした見守り訓練でしたが、今まで以上に認知症の人への理解を深めたことで、今後再開していく予定だといいます。 

事務局を務める枚方市社会福祉協議会の立畠利枝さんはこう話します。
「民生委員はなり手不足といわれています。でも、地域の中には困りごとを抱えていても自分から発信できない人がいます。民生委員には、そうした声を近くでキャッチする役割があります。研修を通して、『地域住民から相談を受けた際に相手に寄り添い、その声に耳を傾けることの大切さを知ることができた』という声を聞き、この講座が開催できて本当によかったと思っています」

■開催日 2022年9月12~14日
■イベント名 認知症に関する体験型研修会
■実施内容 認知症フレンドリー講座

※「認知症フレンドリー事業」の詳細はこちら

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