仲間とのつながり@丹南〜BLGの活動報告
認知症の人と「ともに生きる拠点づくり」を進める100BLGは、同じ思いを持つ全国各地の事業所とともに「学び合いのプラットフォーム」となるネットワークをつくっています。各事業所は、それぞれの土地柄や文化に合わせたかたちで運営されています。今回は、福井県越前市にあるBLG丹南(福井県民生協 丹南きらめき)からの報告です。
こんにちは、BLG丹南の吾田(あずた)です。今年の福井の冬は例年の雪が積もった冬とは違い、比較的暖かく過ごしやすい冬となりました。
今回は、1人のメンバーさんの思い出話から始まったランチョンマット作り、そしてそこから広がったメンバーさん同士のつながりと絆についてお話したいと思います。
きっかけは、Tさんが嫁いできたときに家族全員のランチョンマットを作って食事時に使用していた、と話されたことでした。
近くに住む長男さんご夫婦が毎日顔を出されているものの、Tさんはご主人が他界されてから食事は1人で食べることが多くなったそうです。
メンバーさん同士の会話の中で、Tさんは少し寂しそうに
「たくさん作ったけど、1枚だけしか使わないの」と話されました。
そこから、「BLGでもお昼ご飯のときに使ったらどうかしら?」との提案!
それを聞いたIさん。
「いいじゃない! 私も作ったことあるよ!」「やってみましょう!」と、
早速どのように作っていくか話し合いが始まりました。
「まず布を買わなきゃ」
「私、○○(手芸屋さん)でよく生地を買っていたよ」
そんな会話が始まると近くにいたメンバーさんが集まってきて、
「何の相談?」
「何? 私も仲間に入れて」
あっという間にメンバーさんたちの間で計画が始まりました。
早速、その日のうちに手芸屋さんに生地を買いに行きました。
生地の大きさを考え裁断する人、裏表の生地の組み合わせを考える人、ミシンで縫う人、手縫いで進める人と自然に役割分担され、次々と作業が進んでいきました。
ミシンが苦手なスタッフに、メンバーさんが丁寧にミシンのかけ方を教える一幕もありました。
ランチョンマットだけでなく、端切れを利用してコースターやティッシュケースなど、メンバーさんのアイディアと想いが詰まった作品が次々と仕上がってきています。
「家にいっぱい余ってる布あるよ!」
「ここの事務所でみんなに声をかけてみたら、布が集まるんじゃない?」
そんなひと言から、丹南きらめきの事務所にこんな箱が用意されました。
メンバーさんが事務所にいるスタッフに直接声をかけ依頼したところ、次々と端切れが集まり、段ボール2箱には収まらないほどになりました。
BLGの食事のときに使用するのはもちろんですが、そこから発展してせっかく作ったランチョンマットを誰かに使ってもらいたい、という想いが生まれました。
現在、メンバーさんと相談しながら次の展開を考えているところです。
さて、冒頭で紹介したTさんとIさんですが、ランチョンマット作りを通じてお互いの胸の内を明かしたり、励まし合ったりすることが多くなりました。自分が認知症であること、そのことについて葛藤があること、そんなことを話し合い、相談し合いながら一緒に活動に取り組んでおられます。
「私も一緒よ」
「1人でいると良くないことを考えるから、ここに来て顔を合わせて一緒に過ごしましょ」
そんなやり取りが聞こえてきました。お二人がお互いを必要とし、支え合っているんだなあと温かい気持ちになります。
これからもBLG丹南らしく、私たちのペースでメンバー・スタッフともに支え合いながら、新たなことに挑戦していきたいと思っています。