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40代で急増!アンダーヘアは無しがいい?皮膚科医が答えます 介護脱毛1

VIOイラスト

近頃、将来を見据えてアンダーヘアの脱毛をする人が増えています。いわゆる「介護脱毛」と呼ばれるものですが、それは具体的にどの部位を脱毛するものなのでしょう。そしてどのようなメリットがあるのでしょうか。皮膚科専門医の慶田朋子先生にうかがいました。

ケアがしやすくなるVIO脱毛

「介護脱毛とは、将来、自身が介護される状況になった時のためにアンダーヘアを脱毛しておくことを言います。部位は“VIO”と呼ばれる3カ所で、Vはビキニライン、Iは性器まわり、Oは肛門まわりを指します」と慶田先生。
VIO脱毛の施術件数は近年増加傾向にあり、慶田先生が院長を務めるクリニックでも希望する人が増えているそう。

「2017年を基準とすると、2019年にVIO脱毛を受けた患者さんの数は2.6倍に増加しています。年代としては20~50代になりますが、なかでも伸び率が高いのが40代。2019年は全患者のうち55%が40代でした。ちょうど親の介護が現実的なものになり、アンダーヘアは無い方がいいと思い始める年齢なのかもしれません」

VIO年代別患者数推移/銀座ケイスキンクリニックでの推移
銀座ケイスキンクリニックでの推移

老人介護施設を併設した病院での勤務経験を持つ慶田先生は、介護の現場でVIO脱毛の必要性を強く感じたと言います。

「便や尿はどうしても毛に付着します。自身できれいに拭き取れればいいですが、オムツをしている場合はそうもいきません。特に便の場合、肌とオムツの間にベッタリ広がって乾いてしまうことも。そうなると、ただ拭いただけでは完全には取れないんですね。排泄物が毛にからまっていると介護の清拭の際に時間がかかるだけでなく、かぶれの心配もありますし、匂いや感染症の原因にもなります。ケアのしやすさだけでなく、健康上の観点からもアンダーヘアは無いほうがいいのです」

レーザー脱毛が受けられるのは医療機関のみ

アンダーヘアの処置には、いくつか方法があります。カミソリで剃る、ワックスを塗ってはがす、そしてクリニックで行うレーザー脱毛です。なかでも半永久的に生えないようにするのがレーザー脱毛ですが、これらにはどのような違いがあるのでしょう?

「水着を着る前に、顔用のカミソリなどでビキニラインの毛を剃った経験がある人は多いと思います。ただカミソリでの剃毛は肌を傷めますし、傷から雑菌が入れば感染症の心配もあります。ブラジリアンワックスのようにベリッと剥がすタイプも同じで、肌のバリア(角層)まで一緒にはがしてしまう。しかもこれらは時間が経てばまた毛が生えてくるので、あくまでも一時的な処置になります。皮膚科医としては、安全かつ確実に脱毛できるクリニックでのレーザー脱毛をおすすめします」

実は、レーザーでの永久脱毛が受けられるのは医療機関のみ。医師、または医師の監督のもとで看護師が施術する場合に限って行える処置なのです。

「皮膚科専門医がいるクリニックで施術を受ければ、肌にトラブルが起きた際にもすぐに対処してもらえるので安心です。また老人性のイボがあれば手術で取ったり、ホクロがあれば悪いものではないかチェックしてもらえたりと、副次的なメリットもあります」

介護脱毛に適した年齢は40~50代前半

なぜレーザーを照射することで毛が生えなくなるのでしょうか。そもそもレーザー脱毛とは、メラニン色素に選択的に反応する医療用レーザーを、毛と毛母(毛の根元にある毛を作る器官)に照射し、強い熱エネルギーで毛の生える組織を破壊するというもの。黒い色素にのみ反応するので、白髪には効きません。

「医学的には8割が脱毛されれば“永久脱毛”と呼びますが、ほとんどの人は9割5分無くなります。照射は毛の生える周期に合わせて1~2カ月に1度、5~8回受ければ、よほど濃い人でない限り無毛の状態に。レーザー脱毛をする直前にシェーバーなどで剃毛する必要がありますが、3回ほど施術をすると毛量が半分くらいに減って毛も柔らかくなるため、剃るのも楽になります」

VIO脱毛を考えている人は、アンダーヘアの白髪が目立たない40~50代前半に済ませておくといいようです。

どんな体勢で施術を受けるの? 

VIOのうちどの部位を脱毛するかは各自の自由ですが、「介護脱毛の観点から考えると、全て行うのが望ましいと言えます」と慶田先生。ツルツルな無毛状態には抵抗があるという場合、Vは少し残し、IとOだけを完璧に脱毛するという方法もあり、日本ではこれが主流です。

「欧米では“ハイジニーナ”(清潔にするという意味)と呼ばれる無毛状態が主流ですが、日本ではまだ抵抗を感じる人の方が多いようです。Vの部分の毛の残し方については、小判型、縦長、逆三角形など好みの形にできますので、事前に医師と相談してください。とりあえずIとOだけ脱毛を済ませておき、後になって『やっぱりVも全部いらないな』と思ったら、その時にあらためて照射することも可能です」

気になる施術中の体勢は、次のイラストのようなイメージです。部位によっては、レーザーを当てる部分の皮膚を引っ張りながら施術していきます。

VIOレーザー処理時の体勢

■Vゾーン(ビキニライン)
仰向けに寝て、軽く足を開く
■Iゾーン(性器まわり)
仰向けに寝て軽く足を開き、施術する側の膝を立てて外に倒す
■Oゾーン(肛門まわり)
横向きに寝て膝を軽く曲げ、お尻を突き出すようにする

「施術はクリーム状の麻酔を塗ってから行うので痛みに弱い人でも大丈夫です。また、医療用のレーザー脱毛機器には冷却システムが搭載されているので、やけどの心配もありません。例えば『ジェントルレーズプロ』という機械は肌表面を冷却ガスで冷やして瞬時に適切な出力でレーザーを照射しますし、同様に接触冷却(肌を冷やしてから照射)する別タイプの機器もあります。ただし非常にデリケートな部位であることは間違いないので、安全のためにもきちんとした技術を持つクリニックで施術を受けてください」
後編では、すでに介護を受けている人に対して介護者ができるケアについて解説します。

後編を読む

(イラスト協力/朝日新聞メディアプロダクション)

慶田朋子(けいだ・ともこ)
銀座ケイスキンクリニック院長 美容皮膚科医/医学博士/レーザー専門医/皮膚科専門医
東京女子医科大学医学部医学科卒業。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本レーザー医学会認定レーザー専門医。最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせた「メスを使わない若返り」治療が支持されている。著書に『365日のスキンケア』(池田書店)他。

『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)
「クレンジングしながらマッサージすれば一石二鳥」、「毎日シートマスクでうるぷる肌に」、「化粧水は100回パッティングで肌に入れ込む!」など、雑誌やWEBの美容記事、SNSでの口コミなどでよく書いてあるこれらの言葉は逆効果!? 巷にあふれる間違った美容法を、老けないための新常識とともにわかりやすく解説している。

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