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「認知症にやさしい」東京・町田Dサミット……DAYS BLG! の活動報告

2018年11月24日に桜美林大学町田キャンパス(東京都町田市)で『町田Dサミット』が開催されました。本サミットは町田市が主催し、「認知症にやさしいまちづくり」のキッカケづくりやヒントを共有しようと、広く市民へ参加を呼びかけました。そこでは認知症当事者や家族が登壇して想いを語り合い、また「カフェ」「書店」「仕事」など計9つのセッションも行われました。

■当日、会場で流した動画は、コチラからご覧いただけます

私たちDAYS BLG ! は「仕事」セッションのオーナーを任され、いつも洗車をしているHonda Cars 東京中央町田東店の小林栄作氏とBLG ! からは参加者(以下、メンバーさん)の村山明夫さん、代表・前田の3人でトークをしていきました。

前田と小林さんとの出会いからトークは始まり、1年6ヶ月をかけて、洗車の仕事をいただきたいと口説いた経過と、社内で許可が出るまでにHondaでは「なに」が壁となっていたのか。また小林氏の中で認知症に対するイメージが変化してきたキッカケへと、話の流れは進みました。

そこに、村山さんの絶妙なツッコミが入ります。「もうちょっと賃金を上げてくれないとなぁ」とか「(洗車する)台数が多いんだよ」とか、普段は言えないようなこともサラリと…。それを受けた小林氏の「検討します…」という回答で、会場は笑いに包まれていました。

小林氏のトーク内容を抜粋して紹介したいと思います。
「今まで認知症に対して持っていたイメージは良くなかったです、正直。しかし今は違う。認知症であっても我々以上にできることがあると知りました。特に仕事に対する姿勢は新入社員に見習わせたいです!」

「ある日、展示車に傷がついていたのです。この傷に対して『これはBLG!の人たちがつけたんじゃないか?』という社員がいました。ちょっと磨けば直るような簡単な傷ですが、社員は認知症の人たちのせいにしたがる。そのとき(私は)、その社員に『みなさんも失敗しませんか?僕たちが洗車しても傷つけたことなかったですか?』と聞き返しました」

「何かが当たったり、指輪でこすれたりとか、実際にあります、僕たちも。メンバーさんの失敗はあるが、それは僕らが車に傷をつける程度や頻度と変わらないと、そのときに改めて分かりました。責めた意見を言った社員も『(たしかに)僕たちも傷つけるか』となったのです」

「今ではHonda Cars 東京中央町田東店の社員は全員がBLG!の活動を理解し、メンバーさんの仲間です」

認知症にやさしいまちづくり、「やさしさ」とは諸刃の剣でもあって、ともすると、本人のために良かれと思って「してあげる」ことが本人にとって必要のない「黒いやさしさ」にもなり得ます。これは、悪気が無いので更に性質が悪い。しかし、このトークから、「仲間」という存在が、やさしさなのかもしれないと思いました。

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