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67歳男性「認知症の診断に絶望しています」 認知症と診断された人の生き方は

Q. 先日、認知症と診断され絶望しかありません。これからどう生きていけばいいのでしょう(67歳 男性・無職)

A. 相談下さった方の悩みに答えることは非常に難しいです。その絶望は診断されたご本人にしか分からないことであり、経験したことのない人が何を言っても、薄っぺらいことだと思います。本当に答えられるのは、同じく認知症と診断された人だけだと思います。

ですからどう生きていけば良いのか答えることはできませんが、私の周囲にいる認知症と診断された人がどのように生きているのかその例をお伝えします。

私の母はもともと花や野菜を育てることが好きなのですが、認知症になっても土いじりを楽しんでいました。田舎から飛行機で私のところへ遊びにも来ています。診断されてから数年経ちますが人に気遣いしたくないと言い、今も1人暮らしを続けています。また、ある男性は52歳で認知症と診断され、しばらくしてから会社を退職し、一年間美術館巡りや旅行をしたそうです。「診断されたときはとてもショックでした。でももともと絵を見るのが好きだったので、ゆっくり好きなことをしてみようと思ったんです」と話してくださいました。

認知症と診断されたからといって、今日と明日で全く違うことをしなければならないわけではありません。「自分がどうしたいのか」が一番大事です。今まで通り生活し、自分が楽しい、心地いいと感じることを大切にして欲しいと思います。 

よく、認知症と診断されたばかりの方やご家族から「介護保険を申請すべきですか」「デイサービスに通った方がいいでしょうか」といった相談を受けることがあります。もちろん生活に不自由を感じていたり、ご本人がデイサービスを希望しているなら、介護保険を申請してサービスを利用すればいいのですが、認知症だからといってなんでもかんでも介護の枠にはめてしまうのは得策ではありません。

ご本人が今の生活を楽しめているなら無理に変える必要はないし、夫婦で旅行に行くとか診断前から計画していたことも、そのまま実行すればいい。診断されてから再就職した方もいます。

認知症になっても別人になるわけではありません。あなたの人間的な魅力や価値が変わることはないのです。

 ただ、不安になったり絶望したりすることもありますよね。そんなときは一人で抱え込まないで、家族や友人、医師や看護師など医療者、私たちのような相談機関など誰でもどこでもいいから自分が一番安心できる相手に相談してください。認知症の方を支える人や場所、制度、サービスは、着実に増えています。そこにつながることが大事なのです。

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