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認知症フレンドリー事業

地域の在宅医療・介護従事者が認知症について学び、連携していくきっかけに 守谷市役所

参加者全員、集中が途切れることなく最後まで熱心に講座に取り組んでいました
参加者全員、集中が途切れることなく最後まで熱心に講座に取り組んでいました

朝日カルチャーセンター(共催・朝日新聞社)は認知症の人への理解を含め、ともに暮らす社会を考える「認知症フレンドリー事業」を展開しています。自治体や企業、学校などから依頼を受け主催者のみなさんと啓発活動に取り組んでいます。その取り組みの一端をご紹介します。

「認知症フレンドリー講座では、認知症になった人を初期の段階から支えることが重要であることを学びました。そしてそれを最初に担うのが薬剤師の役割ではないかと思いました」

2025年6月13日、茨城県守谷市内の会場で同市主催の「市在宅医療・介護連携推進会議」が開かれました。同会議は、市内の介護福祉士や看護師、薬剤師、社会福祉士、歯科衛生士など多職種の従事者が年に2回集まり、施設の紹介や事例検討などを実施する会合です。

今回は初の取り組みとして、「認知症フレンドリー講座」を研修に導入しました。
目的は「各専門職が認知症を切り口にそれぞれの立場でできることを考え、話し合い、顔の見える関係を築いていくこと」でした。そのうえで、「認知症の人が生きている世界を自ら体験することで、認知症の人の気持ちを考え、世界観を大切にし、本人に残された能力を引き出すためのケアについて専門職で共有し、支援できるようにする」との目標を掲げました。

市内の専門職が集まって顔が見える関係づくりを

集まった参加者は約60人。講座は90分枠で実施されましたが、その後は各職種別に参加者が8グループに分かれて、「認知症の人への対応として、講座での学びや気づきを現場でどう生かせるか」について約30分のディスカッションを実施。日頃の業務での課題などを共有しながら、活発な話し合いが行われました。
 冒頭の発言は、グループ内の話し合いで、薬剤師の参加者から発表されたものでした。

金曜日の18時半からの開催にも関わらず、みなさん仕事を終えた後ほぼ定刻通りに集まりました
金曜日の18時半からの開催にも関わらず、みなさん仕事を終えた後ほぼ定刻通りに集まりました

主催の健幸長寿課の保健師・宮下美紀さんと吉井晃美さんはこう話します。

「専門職種としてのそれぞれの役割を再認識できた貴重な時間になったと思います。認知症の人の初期段階や、あるいはその手前の段階にある人への気づきや対応は、薬剤師さんが担えるのではないかとの意見も上がりました。その可能性を考えると、彼らのスキルを生かしながら、そこから地域包括支援センターなどへつなげる仕組みをつくれるかもしれません。『認知症ケアパス』などを提示しながら市も連携づくりに関わっていきたいと思います」

参加者のひとり、介護福祉士の召田智美さんは、初期から支援の大切さに加えて、講座の中で聞いた「認知症は特別なことではなく、正しい理解と少しのサポートがあれば、そのままその人らしい生活を続けることができると、多くの人に知ってほしい」という訴えに強く共感したそうです。
その上で、「もっともっとその考えが広まってほしい」との思いを述べました。

同市は2023年度から地域住民向けの啓発事業として「認知症フレンドリー講座」を初導入し、24年度には同講座に加え、「認知症フレンドリー講座ジュニア」も合わせて実施、そして3年目に当たる25年度は市内の専門職向けの研修として本講座を採用しました。

■開催日:2025年6月13日

■イベント名:令和7年度 第1回守谷市市在宅医療・介護連携推進会議

■実施内容:認知症フレンドリー講座

※「認知症フレンドリー事業」の詳細はこちら

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