北海道で広がる本人視点を体験する「認知症フレンドリー講座」
朝日カルチャーセンター(共催・朝日新聞社)は認知症の人への理解を含め、ともに暮らす社会を考える「認知症フレンドリー事業」を展開しています。自治体や企業、学校などから依頼を受け主催者のみなさんと啓発活動に取り組んでいます。その取り組みの一端をご紹介します。
認知症の人の気持ちを理解するための出張講座や上映会などを提供する「認知症フレンドリー事業」(朝日カルチャーセンター提供・朝日新聞社共催)が道内の自治体を中心に広がっています。2020年の導入以来、これまでに80カ所以上で実施されました。2024年1月に施行した認知症の人とともに暮らす共生社会づくりを目指す「認知症基本法」が後押しになっているようです。
恵庭市と恵庭市みなみ地域包括支援センターなどを構成する市認知症地域支援推進員主催で2025年9月28日、「認知症フレンドリー講座」が市内で開かれました。集まった約50人の市民を前に講師からは「認知症になっても主体的に人生を生きていくことができる」という説明とともに、認知症の人が思いを語るインタビュー動画などを視聴。さらに認知症の人の視点を仮想現実(バーチャルリアリティー=VR)で体験するため、ゴーグル型のVR専用機器を頭に装着して、空間把握能力の低下によって階段を下りにくくなる状況や、その場にはないものに見間違える「錯視」などの状態を体験し、本人の不安や戸惑いを感じ取りました。
VR専用機器を装着して「錯視」などを体験
「認知症は自分もいつかなり得るもの」と考え参加したという同市の櫛田直江さん(65)は「認知症になると『何もわからなくなる』と思っていましたが、そうではないと知りました。周囲の環境がよければ安心して暮らしていけると思います」と納得の表情。
「市民から好評で今年で連続5年目の開催になる」という支援員の奥宮啓さんは「VR体験に加え、基本法の趣旨も踏まえた認知症の人の気持ちがわかるように工夫された講座内容が理解度を高めている」とみています。同市は同6日に、認知症の父と子の葛藤を描く映画「父と僕の終わらない歌」上映会も開催し、432人が鑑賞しました。
同27日には、北広島市社会福祉協議会主催で、市内で開かれた講座に市民約30人が集まりました。担当の地域支え合い支援員・山崎涼子さんは狙いについて「『認知症になりたくない』と考える高齢者はまだ多いですが、地域で支えてくれる人がいることがわかれば、認知症になっても安心して暮らせる地域になれるとわかってもらいたい」と話しました。
11月26日に開催した標津町保健センターは、厚生労働省の認知症施策推進計画の策定を進める「支援事業活用」の補助金を使って「認知症フレンドリー講座」を導入しました。担当者は「認知症基本法の趣旨にある、認知症になっても希望を持って暮らしていける『新しい認知症観』を住民に広く理解してもらうことが目的」としています。
■開催日: 2025年9月28日
■イベント名: 認知症フレンドリー講座
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