次世代のリーダーを育成することを目指し、若い世代へ啓発を 蒲郡市役所(海陽中等教育学校)

朝日カルチャーセンター(共催・朝日新聞社)は認知症の人への理解を含め、ともに暮らす社会を考える「認知症フレンドリー事業」を展開しています。自治体や企業、学校などから依頼を受け主催者のみなさんと啓発活動に取り組んでいます。その取り組みの一端をご紹介します。
「認知症フレンドリー講座」の受講者は、ここ数年若い世代にも広がりつつあります。
蒲郡市役所は2025年1月25日、市内にある海陽中等教育学校に「認知症フレンドリー講座」を導入することを決めました。同校はトヨタ自動車、JR東海、中部電力など多くの企業が設立を支援し、2006年に開校した中高一貫教育を実施する私立男子校です。次世代のリーダーを育成することを目指し、基礎学力の習得に加え、イギリスのパブリックスクールなどをモデルに寮生活を通じて人間力を磨くことを特色としています。
市健康福祉部長寿課地域包括ケア推進室の林さと子さんはこう説明します。
「認知症啓発を幅広い世代におこないたいという考え方のもと、若い世代への理解も必要という議論は以前からありました。その一環として市内の高校に声をかけるようになりました。昨年度は市内の公立高校で開催、そして今回は海陽さんに問い合わせたところ快く引き受けてくれました」
開催時間は、土曜日の20時。生徒の自主学習に充てている時間でした。対象は中学1年生約70人。同校では月1回の頻度で、外部から起業家や議員、医師、オリンピック選手などを招いて講話を実施しているそうです。
他者の気持ち考えられる次世代のリーダーづくりへ

寮でともに暮らし、生徒の助言・指導などのサポートを担う「ハウスマスター」として、企業から派遣されていた山下勇一さん(当時)はこう話します。
「第一線で活躍する社会人の話を直接聞くことは生徒たちにとって将来を考えるうえで刺激になります。一方で、次世代のリーダーの育成を目指す本校としては、『他者を感じる心』を養うことが全人教育の観点から求められています。今回の講座で、VR体験などを通じて具体的に認知症の人の視点がイメージできたことは、他者の立場を知るうえで大いに役に立ったと思います」
生徒からは「街で見かける高齢者が困難な状況にあると思えば、手を差し伸べたい」などの感想が聞かれたといいます。
山下さんは「本校は医療界を目指す生徒も多く、次にまた機会があれば中学1年生に加えて、医療や看護、介護領域に関心を持つ上級生も参加させたい」と話していました。
同市ではほかにも若い世代への啓発として、市内の小学校を舞台として小学生向けの「認知症サポーター養成講座」を定期的に開催しています。
■開催日:2025年1月25日
■イベント名:認知症フレンドリー講座
■実施内容:認知症フレンドリー講座
※「認知症フレンドリー事業」の詳細はこちら
