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桜の便りは、記憶の便り

久しぶりの堀田聰子さんとの再会で駅ビルフロアの造花で記念撮影
久しぶりの堀田聰子さんとの再会で駅ビルフロアの造花で記念撮影

こんにちは、若年性認知症当事者のさとうみきです。
早いもので、手術をしてから今日(原稿を書いている時点)でちょうど1カ月が経ちました。
いまは手術前と後の体の変化を確かめながら、
日常生活に戻すことへのさまざまな大変さを痛感しつつも、
出来ることから少しずつ始めています。

さて、3月半ばに入り、
みなさんのSNSを通じて、全国からすてきな〝桜の便り〟を目にしています。

そして、この週末には外から、子どもたちのいつもより元気な声が聞こえてきました。
寝室で横になっていた体を起こし、窓から外の様子をのぞき込んでみると、卒業式を終えた中学生たちが、マスク越しではありますが、
元気な笑顔で〝友だち〟と、3年間通った最後の通学路を通り、家路につく姿が見えました。

わたしは思わず笑顔で
「おめでとう、3年間、コロナの中でがんばったね」
と、声を出していました。

今年はどんな〝記憶の便り〟を来年に残していけるかなぁ
今年はどんな〝記憶の便り〟を来年に残していけるかなぁ

毎年の春の訪れは、何をしたという記憶ははっきりしなくとも、
さまざまな想いと感覚が交差する〝季節〟です。
そう、わたしにとって〝桜の便りは、記憶の便り〟でもあります。

また1年が過ぎて、4月からの新年度が訪れる。
そんな恒例の感覚は、心と体にしみこんで覚えているものなのです。
「空気」であったり、「人々の声」であったり、そして、「桜」などの花々だったり。
そうした感覚です。

認知症が進行し、ご本人が会話をすることが難しくなっても
その方の「意思」は、もちろんのこと「感覚」は特に研ぎ澄まされていると思います。

わたしと同様の経験をほかのご本人さんからもうかがうことがあり、
最近、講演会で伝えていることのひとつです。

はぁ、春〜!
どこかワクワクしながらも、ちょっとさびしさを感じる瞬間がある春。

今回の手術の経験では、もう年末から3カ月以上の間、活動を休止し、
たくさんの方々に支えていただきました。
本当に、ひととのつながりがあたたかく、感謝申し上げます。

そして、わたしへ
手術、リハビリもよく頑張りました。
毎日、閉じこもりがちになり、ベッドの上での生活はどう? あきたかな?

さぁ、わたしもみなさんから勇気とパワーを分けていただきに、
そろそろ活動をスタートしましょう!

わたしならきっと大丈夫。
泣いたり、笑ったり、怒ったりしても……。
理解してくださるひとはいるから。

理解してくださって、支えてくださるみなさまに
たくさんの想いを伝えていこう。

わたしなりに精いっぱいがんばっている。
わたしの歩幅で歩みなさい。
わたしは、わたし。

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