【慢性硬膜下血腫】治る認知症を専門家が解説
構成/別所 文
自分が認知症に? 大切な人が……? 細かいけれど大きな悩みの数々を、専門家に聞きました。
Q 治る認知症があるって本当ですか?
【答える人】
- たかせクリニック理事長 髙瀬義昌(たかせ・よしまさ)医師
- 信州大学医学部卒。東京医科大学大学院修了、医学博士。麻酔科、小児科を経て2004年「たかせクリニック」を開業。在宅医療での高齢者医療、認知症のスペシャリストとして、厚生労働省の事業や地域包括ケア、介護関連事業の委員も数多く務める。患者だけでなく医療関係者からも好かれる、愛とユーモアがたっぷりのドクター。
A 「治る」とまでは言い切れませんが、認知機能がじゅうぶん改善されるケースはあります。なんらかの病気があって、認知機能の低下が起きている場合です。原因には次のようなものがあります。
・慢性硬膜下血腫……転んで頭を打つなどして脳を包む膜の下に血のかたまりができ、脳を圧迫している
・腫瘍……良性・悪性にかかわらず、脳を圧迫している
・正常圧水頭症……脳の中の脳脊髄液が過剰になって脳を圧迫している
・てんかん……脳の神経細胞の働きが障害され、行動異常や意識障害などがあらわれる
・甲状腺機能低下症……甲状腺の機能が低下して、記憶力低下や無気力などがおこる
・ビタミンB1、B12不足……いずれも不足すると認知機能が低下する
認知症疾患医療センターや神経内科など、認知症を専門に診る医師のいるところでは、こういった病気の可能性があるかないかをまず調べます。
原因となる病気がある認知症は、認知症全体の約4割を占めるといわれています。かなり高い割合ですね。つまり、この4割は治る可能性のある認知症です。逆にいえば、原因疾患を治さないと、認知症の症状も改善されないということです。
2019年2月18日更新