誰でも居酒屋

認知症に向き合うきっかけは「生涯の友」保健師でケアマネで飲み会永久幹事

「誰でも居酒屋」の幹事役、水野隆史さん(写真右端)=清川卓史撮影
「誰でも居酒屋」の幹事役、水野隆史さん(写真右端)=清川卓史撮影

認知症の人も、そうでない人も、飲み仲間として語り合える。そんな飲み会が「誰でも居酒屋」だ。東京・池袋周辺で月1回。会費は3千円、お酒は2~3杯まで。小ぶりの飲食店を貸し切りで、という日が多い。いろんな人が顔をだして、結構繁盛している。今回は、この人なしでは飲み会がはじまらない幹事役、水野隆史さん(45)のことを書きたい。

若年性認知症の友人との出会い

「お二人ってどんなご関係なんですか?」
5月末の誰でも居酒屋。並んでビールを飲んでいる若年性認知症の本人かずひこさん(67)と水野さんに、初めて参加した20代の会社員がたずねた。
「飲み友達。ケンカもするしさ」
水野さんの答えに「えっ、ケンカするんすか」と若者が驚いている。

水野さんはいま、地域包括支援センターで仕事をしている。保健師で看護師で精神保健福祉士で、ケアマネジャーで……「誰でも居酒屋」の永久幹事だ。

わたし(記者)は水野さんとあるイベントで知り合って、その日のうちにFacebookで「友達」になった。
驚いたのは、そのイベントの帰り道、若年認知症の本人であるひろゆきさん、かずひこさんと水野さんが3人で、「打ち上げ」として満面の笑みで乾杯している写真がアップされていたことだ。場所はたしか新宿の居酒屋だった。
(普通に飲み会している……)
そのときの私にとってはちょっとした衝撃だった。その驚きが、「誰でも居酒屋」を取材してみたいという思いにつながった。

「誰でも居酒屋」の幹事役、水野隆史さん(写真右、水野さん提供)
「誰でも居酒屋」の幹事役、水野隆史さん(写真右、水野さん提供)

水野さんが認知症というテーマに関わるようになったきっかけは、「生涯の友人」という、ある若年認知症の男性との出会いだった。
「彼は下戸だったんですけど、ラーメン屋さんなんて何軒一緒に食べ歩いたかわからない。ウチの子どもとは何度も公園で一緒に遊んでくれました」

水野さんは4年前に「若年認知症いたばしの会ポンテ」を立ち上げた。本人や家族とともに活動を続けている。「誰でも居酒屋」の常連さんは、ポンテのメンバーが多い。

水野さんが時折語ること。
「認知症の問題に取り組むなら、認知症のことだけ考えていても仕方がない」
「まわりにいる地域の人のことも考えないと、誰もふりむいてくれない」
水野さんは、認知症の人と一緒に、5月から具体的な取り組みをはじめた。
次回はそのことを書きたい。

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