介護初心者が語る 紙パンツ体感レポート 家族は「介助の負担が少し減った」 本人は「自分でできることはしたい」
取材・文:岩崎賢一 Sponsored by 花王 「リリーフ」
朝日新聞社なかまぁる編集部と花王「リリーフ」の共同プロジェクトでは、「介護初心者」の方々へのアンケートや、在宅介護をされている方々の協力を得て、大人用おむつの新商品の体感レポートをしていただきました。2回目の報告は、夫婦二人で自宅で暮らす、70代・80代の2組です。年金生活をする高齢者にとって、身体の老いも考慮すると「一人でもらくらくはける紙パンツ」「取り換えが楽な尿とりパッド」「経済的」の3点が重要なようです。体感レポートと取材に協力してくれた北海道と高知県の2家族は、「(要介護者の本人が)自分で紙パンツの上げ下げや尿とりパッドの交換ができるようになった」というメリットを感じていました。
自分でできることが増え、ケアをする妻に心の余裕ができました
夫を介護する妻からのレポート
北海道で要介護2の夫(80代後半)と暮らす妻(80代前半)は、最近、やっと夫に合う紙パンツと出会えました。
「夫も、快適に過ごせるだけでなく、自分でできることが増えて自信につながったようです。私も、1~2時間、息抜きの時間が取れるようになりました」
夫は、定年退職をした後、好きなトレッキングを楽しんでいましたが、脳梗塞(のうこうそく)を経験し、老いも重なり、行動範囲は近所の散歩程度に狭まってきていました。60代後半から尿漏れが始まった夫は、当初、吸水帯付きの布パンツを利用していましたが、量が増えてきたため、布パンツに使い捨ての吸水パッドを付けるようになりました。1年ほど前、この吸水パッドをトイレに落として流してしまい、トイレを詰まらせたことがきっかけで、おしっこ4回分の「紙パンツ」を利用するようになりました。
「最初は紙パンツ選びの失敗を繰り返していました。夫はおなか周りで選ぶとLサイズですが、脚が細いので『横漏れ』をしていました。太もも部分を医療用テープで巻き、すき間がないようにしていました」
「紙パンツに尿とりパッドを使っていなかったのは、布パンツに吸水パッドをつけて利用していたとき、パッドがずれてしまったり、よれてしまったりして、使う夫もイライラすることが多かったからです。安心感も持てなかったのです」
1日にトイレに行く回数は、日中で2~3回、多いときで5~6回、夜間で4~5回。夫は、自分で歩いてトイレに行くことができますが、困ったときだけ、トイレ内に置いてある呼び鈴を使って妻を呼び、トイレの介助をしてもらっていました。
今回の体感レポートをきっかけに「リリーフ 上げ下げらくらく うす型パンツ」と「超安心パッド」を使い始めたら、「トイレに関わる介助の負担が少し減った」と感じています。
「トイレに一緒に入り、後始末をする手間がなくなりました。それによって、夫のトイレを常に気にする必要がなくなり、趣味の編み物や家事に没頭できるようになりました」
妻によると、理由はいくつかありました。一つは、夫が自分でできることが増えたことです。
「夫が気づいたときにトイレでパッドを自分で交換し、正しくセットできるようになったからです。実は、紙パンツだけだと外出時に交換するときに簡単に取り換えられず、困っていました」
もう一つは、夫自身がはきやすさとはき心地に満足している点です。
「夫は『腰の上まで自分で上げられていい』と感想を話していました。以前は4回用を使っていたためか、厚みがあり、また本人の力では十分上まで上げられなかったり、上げにくかったりしたようです。体感した紙パンツ(2回用)は、締め付け感もなく、快適に過ごしているようです」
デイサービスの介護職員からは、最近、こんな言葉を投げかけられたそうです。
「いい紙パンツを使っていますね。多くのご利用者の入浴介助をしていると、かぶれたり、赤くなったりしている人もいます。(夫は)お尻がきれいですね」
紙パンツの経済性を考え、近居する長女に頼み、インターネットのECサイトで「箱買い」してもらい、夫婦が暮らすマンションに配送してもらうことで重い荷物を運ぶ買い物の負担を減らす工夫をしています。
自分にあったフィット感、片手でも上げられ、ずれて漏れることもない紙パンツに出会えました
けがで突然要介護1になった本人からのレポート
高知県の海の近くの二階建て住宅に夫と暮らす妻(70代前半)は、2023年9月にけがをして要介護1の認定を受ける前までパートで訪問介護員の仕事をしていました。それが、自宅の1階の縁側から洗濯物をつるしたハンガーを軒下にかかる洗濯竿(せんたくさお)に掛けようとしたとき、よろけて目の前のコンクリートの地面に落ちてしまいました。
「それまでけがをしたこともないほど元気でした。結果は、大腿骨、股関節、足首、手首の骨折。入院して手術となると紙パンツを利用せざるを得ませんでした。初めての経験です。ベッドの上で身動きできず、受け入れるしかありませんでした」
大きな骨折につながった背景には、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深い骨粗鬆症(こつそしょうしょう)だったことが挙げられます。右側を骨折しているため、リハビリで少し歩けるようになり、看護師の介助でトイレに行くことができるようになっても、右手が使えず、紙パンツの上げ下げには不自由さを感じていました。
手術した病院ではテープタイプでしたが、転院したリハビリ病院ではパンツタイプを勧められました。
「介護の仕事をしていましたが、自分がどのタイプがいいのか分かりませんでした。親戚の人に紙パンツや尿とりパッドを買ってきてもらいましたが、自分にフィットしないので、違うものを買ってきてもらうことを繰り返していました。リハビリでは脚を動かします。そうすると、同じサイズでも、締め付けが緩いもの、きついものがありました。紙パンツは使ってみないと自分に合うか分からない点があるので、どれを買うか難しいですね」
退院して自宅に戻った後も右手が自由に使えないため、パッドの装着はおろか紙パンツの上げ下げにも苦労しました。自宅となると、困っていても病院のように看護師さんに助けてもらうことはできません。
「トイレに行くのもままならず、尿とりパットを交換するのも体が痛くて、最初は夫が交換してくれました。しかし、夫が嫌がるので自分で交換するようにしました。上手く紙パンツが上げられず、パットもずれてしまい、トイレの度に汚れてしまった紙パンツを交換していました。もったいなかったです」
まだ、70代前半ですが、骨盤底筋が緩くなり、長期の入院生活で全身の筋肉が落ちてきてしまっています。夫婦の子どもは関西で暮らしています。日本では、高齢者夫婦のみ世帯や高齢者の一人暮らし世帯が増え、日常生活動作(ADL)の維持のほか、老化で衰えた身体機能を踏まえた商品と出会えたり、それをうまく利用できたりすることが、生活の質(QOL)の向上につながっていきます。
「プライドがあるので、自分でできることはしたいのです。特にトイレは……。だから、自分にあったフィット感、片手でもらくらく上げられて、ずれて漏れることもない紙パンツに出会えたことで、トイレに行くことが心身ともに楽になりました」
経済性で紙パンツを購入する傾向 残る課題は在宅介護をする介護者の負担軽減
「介護初心者 応援プロジェクト」(朝日新聞社「なかまぁる」と花王「リリーフ」の共同プロジェクト)では、2024年3月26日~5月19日にかけて、「介護初心者が戸惑うトイレ問題 排泄介助に関するアンケート」を実施しました。有効回答400人で、「父や母を介護する『子ども』」が286人と一番多く、「義理の父母の介護をしている『子どもの配偶者』」が55人、「夫や妻を介護する『配偶者』」が33人、「その他」が16人、「祖父母を介護する『孫』」と「上記以外の家族(両親のきょうだいなど)を介護する『家族・親族』」がそれぞれ5人でした。
紙おむつを初めて購入したり、使い始めたりする「介護初心者」が困ること(複数回答)のトップ3は、「どのサイズが合うのか分かりにくい」「商品ごとの違いが分かりにくい」「パンツタイプ、テープタイプ、尿とりパッドなど何を買えばいいか分からない」でした。尿漏れや尿失禁で、急きょ、紙パンツを代理で買いに行く家族にとって、どの紙パンツや尿とりパッドがフィットし、尿漏れもなく、はき心地がよいのか、戸惑っている様子が浮かび上がりました。
一方、現在、利用する紙パンツを選んだ理由を質問(複数回答)すると、「1枚当たりの価格が安い」という答えが一番多く、「着脱しやすい」「使ってみてよかったから」が続きました。毎日利用することから、経済性を最重視し、次に家族・本人ともに利用しやすさで選んでいることが分かりました。
そのうえで、紙パンツを日常的に利用されている家族にとってトイレに関わる介護で改善してほしいことを質問(複数回答)すると、課題が見えてきました。トップ3は、「ニオイの除去」「ストレスの軽減」「汚れたものの洗濯」でした。在宅介護をする介護者の負担感が高いことが分かります。
この家族の負担軽減のためには、紙パンツや尿とりパッドを使いつつも、本人ができるだけ長くトイレの自立を続けられることが重要になってきます。そのためには、経済的負担の観点からだけでなく、介護する家族や本人にとって、尿漏れしない最適な紙パンツと尿とりパッドの組み合わせや、正しい使い方に、家族が「出会えるか」がポイントになってきます。
こうしたことから在宅介護の「介護初心者」の多くは、次のようなことがいえます。
- 家族に合う紙パンツや尿とりパッド選びに戸惑っている
- 毎日使うので経済性を重視して購入している
- 在宅介護をする介護者の負担軽減につながる商品や正しく効率的な使い方を知りたい
介護初心者の課題解決 要介護者が自分で上げやすい紙パンツづくりに挑戦
花王がこうした介護者の声に耳を傾け、利用する要介護者の状態を理解したうえで開発した新商品が、2024年4月13日に発売された紙パンツ「リリーフ 上げ下げらくらく うす型パンツ」です。
尿漏れの頻回や尿失禁を経験したとき、本人も家族も焦り、ドラッグストアに探しに出掛けたものの、紙パンツや尿とりパッドの種類の多さに圧倒されてしまいます。
「リリーフ 上げ下げらくらく うす型パンツ」は、紙パンツを利用し始めた「介護初心者」にフォーカスし、課題を改善しました。
- はきやすさ
- パッドのつけやすさ
- 漏れない・漏れにくい安心感
紙パンツを上げ下げする際、フレイルや要介護の高齢者は筋力や握力が落ちてしまっている方も多く、うまく紙パンツをつかんで、腰の上まで完全に上げられないことがあります。新発売の「上げ下げらくらく うす型パンツ」は、腰のギャザーを調整したり、親指がポケットに引っかかるような作りにしたりして、この課題を改善しました。また、紙パンツとパッドが正しくつけられるように両側に青色のラインの目印を設けています。パッドも漏れにくい構造を採用しています。
自分でトイレに行くことができる「軽度介護層」にとって、その自立の維持がとても大切です。本人が自分で紙パンツやパッドを正しくはいたり、つけたりすることができれば、在宅介護をする家族の負担も併せて軽減されます。
おことわり
なかまぁる編集部と花王「リリーフ」では共同プロジェクトを実施しています。この記事で登場する方々は、3月26日~5月19日にかけて実施した「介護初心者が戸惑うトイレ問題 排泄介助に関するアンケート」の回答者の中から、「体感レポート」に参加していただいた方に追加取材をしたものです。インタビュー内容は取材時点の状況です。