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介護初心者が語る 紙パンツ体感レポート 家族は「尿とりパッドの装着が楽になった」「朝漏れなくなった」

イメージ(イラスト・ゆぜゆきこ)

在宅介護をする「介護初心者」へ、大人用紙パンツ(パンツタイプの介護用おむつ)・尿とりパッドに関するアンケートや体感レポートを実施したところ、紙パンツへの尿とりパッドの装着に課題を抱えている人が多いことが分かりました。朝日新聞社なかまぁる編集部と花王「リリーフ」による「介護初心者 応援プロジェクト」の1回目の報告は、親の介護をする50代の2人です。体感レポートに参加してくれた群馬県と東京都の2家族は、尿とりパッドについて「装着時のイライラがない」や「ずれによる『朝漏れ』がない」とメリットを感じていました。

介護で初めて感じた 尿とりパッド装着時のイライラが解消できました

実家の母親を介護する長女からのレポート

群馬県の実家から30キロほど離れた街で暮らす長女(60代前半)は、老老介護をする両親のもとへ、週3~4回、様子を見に通っていました。要介護2の母親(80代後半)の日常的な介助を要支援1の父親(90代前半)がしていました。2023年春ごろは、泊まり込みでサポートをしながら、学校に通って介護の勉強を始めていました。ところが、同年12月、父親が入院し、長女が本格的に母親の介護をする生活が始まりました。

母親は同年冬から、夜間に紙パンツを使うようになり、日中は布パンツに吸水パッドを付けて使っていました。2024年に入り、病気の進行もあり、次第に紙パンツを利用する時間が長くなりました。トイレに間に合わず尿漏れしてしまったことはほとんどなく、予防的に使用している感覚です。紙パンツは入浴時に交換し、パッドのつけ替えも1日1回程度です。

とはいえ、突然始まった本格的な介護生活です。

「夜間は介護ベッドの横に置いているポータブルトイレを利用していますが、生理現象なので時間が決まっていません。夜間、2回だけのときもあるし、5回から7回行くときもあります。夜間はそのたびにトイレ介助が必要になってきます」

今回の体感レポートで選んだサイズは、Lサイズです。これまで下着ではMサイズだったため、紙パンツもMサイズを購入してきました。しかし、おなか周りがきつかったので、両脇に少し切り込みを入れて使用していました。

「今回、Lサイズを初めて使ってみましたが、こちらの方がフィットしました。おなか周りがゆったりしていて、母親もはいていて楽なようでした。太もも回りがゆったりしていて紙パンツだけだと漏れてしまわないか少し心配していましたが、尿とりパッドを挟むとしっかり密着して安心できたようでした」

イメージ(イラスト・ゆぜゆきこ)

母親が紙パンツの上げ下げをする様子を見守っていても、これまでより早く上げられているように感じました。また、長女にとっても、紙パンツへの尿とりパッドをつける際の時間短縮、ストレス軽減につながりました。

「つける位置を間違えても直しやすく、とても楽になりました。平らな面にパッドをつけるのなら容易なのですが、紙パンツはそうではないのでパッドの装着は意外と手間取り、イライラの一因でした。私も、パッドを正しい位置につけるのが案外難しいということを初めて知りました。こうしたつけやすい、直しやすいパッドと紙パンツを利用することは、毎日何回もあるトイレでの精神的負担が大きく軽減すると思いました」

紙パンツとパッドの両サイドに青色のラインがあり、合わせやすいほか、パッド全面にシールがないため、少しずれたとしても修正しやすいと感じています。また、両サイドの部分が薄いため夏は通気性がいいと感じました。

最近始まった「朝漏れ」がなくなり、本人も着脱しやすそうでした

義母の介護をする妻からのレポート

東京都内の一軒家で暮らす5人家族の妻(57)は、夫(63)と一緒に同居する義母(86)の在宅介護をしています。夫は自宅で仕事をし、妻はパートで働いていています。義母は要介護2でも自分でトイレに行くことができるため、紙パンツや尿とりパッドの交換も本人に委ねています。

「2年前から紙パンツが必要になりました。当時は、どれがいいのか分からず、CMのイメージで選んでいました。最近、紙パンツにパッドをしているのに『朝漏れ』してしまうことが多くなっていました。紙パンツはウエストで選ぶのでMサイズを使っていますが、寝ているとき、脚が細いせいか、知らず知らずに紙パンツやパッドがずれて漏れてしまうのではないかと推測していますが、正しい原因が分からず困っていました」

「本人も『まだ自分でできる』『介護してもらうのはまだ恥ずかしい』という気持ちがあるので、『朝漏れ』したときも自分で洗濯をしていました。ただ、家族からすると、どれぐらいの尿が漏れているのか、どこからどうして漏れているのかも分かりません。だからどのような尿量やタイプが合うのか分からず、紙パンツ選びは大変でした。結局、なくなりそうになると夫が値段やはき心地で選ぶのが日常でした」

イメージ(イラスト・ゆぜゆきこ)

義母は、現在、デイサービスに週3回通っています。朝は、歯みがき、体温測定、食事、服薬の介助を夫婦で行うので家族にとって忙しい時間帯です。洗濯は義母が自分でできているといっても、認知機能の低下があるため、いつまでできるか分かりません。家族と一緒に買い物や散歩に頻繁に出かけているほか、自宅にいるときでも毎日1~2時間、大好きな習字のほか、計算や塗り絵をしています。できることはなるべく多く維持したいと家族で考えて取り組んでいます。トイレの自立もその一つです。

今回の体感レポートで、「リリーフ 上げ下げらくらく うす型パンツ」と「超安心パッド」を使ってみました。義母は家族に対して「大丈夫、いつもと一緒」と話していたそうですが、家族からすると、今のところ「朝漏れをした」と言ってくることがないそうです。

「『朝漏れ』しないだけでなく、本人も着脱しやすいようです。やわらかく肌にやさしいとも感じているようです」

紙パンツの交換は1日1回。パッドはトイレに間に合わず尿漏れしてしまったときに交換していますが、時々、パッドをつけていないときもあり、心配しています。

「今のところトイレが自立していていいのですが、経済的なことを考えればパッドは必ずつけてほしいです」

きっかけは「不安」「失敗」から 紙パンツ交換は朝夕2回か1日1回が多くを占める

「介護初心者 応援プロジェクト」(朝日新聞社「なかまぁる」と花王「リリーフ」の共同プロジェクト)では、2024年3月26日~5月19日にかけて、「介護初心者が戸惑うトイレ問題 排泄介助に関するアンケート」を実施しました。有効回答400人で、「父や母を介護する『子ども』」が286人と一番多く、「義理の父母の介護をしている『子どもの配偶者』」が55人、「夫や妻を介護する『配偶者』」が33人、「その他」が16人、「祖父母を介護する『孫』」と「上記以外の家族(両親のきょうだいなど)を介護する『家族・親族』」がそれぞれ5人でした。

ここで注目するのは、紙パンツを使い始めた直接のきっかけに関する質問(複数回答)への回答です。「トイレに間に合わない不安があるから」「尿失禁をしてしまったから」「尿漏れが気になるようになったから」といった上位3つの選択肢は、介護を受ける側の身体の変化に伴うものです。また、2番目に多かった「尿失禁をしてしまったから」や4番目に多かった「汚れた衣類等の洗濯が手間だから」は、主に介護をする側の家族の負担増加を連想させるものです。

尿漏れ、尿失禁の頻度には個人差があります。一方で、尿漏れや尿失禁は、介護を受ける側の高齢者にとって、行動範囲を狭める原因になり、自信を失い、閉じこもりがちになることもあります。過度に容量の多い、厚めの紙パンツを選択するケースもあり、動きにくさにつながってしまうことがあります。そのようなことを防ぐためには、状態に合った紙パンツ・尿とりパッドと出会うことや、パッドの正しいつけ方や交換が重要になってきます。「トイレの失敗」を防ごうとして、容量の多いタイプを選ぶ人もいますが、自分でトイレに行くことができる高齢者の場合、2回用紙パンツでパッド併用から始めてもいい人もいます。

「介護初心者が戸惑うトイレ問題 排泄介助に関するアンケート」で分かったことの一つは、紙パンツの交換頻度が多い点です。有効回答400人のうち321人が「自宅のトイレを利用」と回答していますが、紙パンツの交換頻度の質問では「朝夕の2回」が150人、「1日1回」が146人でした。要介護1~2の軽度介護者で軽い尿漏れならパッドを交換し、紙パンツを1日使い続けることもできます。

アンケート回答者への取材では、下着のように毎日着替える感覚や、衛生的として毎日交換するという人がいる一方、1日目と2日目はパッドを交換し、3日目は紙パンツだけで過ごして夜交換するという人もいました。

紙パンツのみを利用し、パッドを利用しない人に理由を質問(複数回答)すると、一番多かったのが「紙パンツだけで十分機能を果たすから」でした。また、「当事者が装着できないから」という人も多くいました。紙パンツを利用し、自分でトイレに行くことができる高齢者にとって、トイレの中でパッドの交換がしやすい、尿漏れしないように正しく装着できる、といった点が併用のポイントとしてこのアンケートから見えてきました。

介護初心者の課題解決へ つけやすく漏れにくい尿とりパッドと紙パンツづくりに挑戦

アンケートでは、紙パンツとパッドを併用している人も、さまざまな組み合わせを経験していることが分かりました。花王「リリーフ」では、4月13日、利用する要介護者の状態を理解したうえで、新商品「リリーフ 上げ下げらくらく うす型パンツ」と併用して使いやすいパッドの新商品「リリーフ ズレずにピタッと 超安心パッド 紙パンツ用」を同時発売しました。その背景には、利用者が抱える課題である紙パンツと併用したときの尿とりパッドの「つけやすさ」や「漏れにくさ」の向上にあります。

紙パンツとパッドの正しいつけ方をサポートする基準のライン「青色の線」があり、それに併せれば正しく装着できるように設計されています。

もう一つ大切な「漏れ防止」には、紙パンツを正しくはくことが重要です。花王「リリーフ」の動画では、便座やベッドに腰掛けた状態ではき始める際のポイントが紹介されています。

  1. 腰下あたりまで上げる
  2. パッドを二つ折りのまま、紙パンツの底につくまで入れる
  3. パッドの前後にある青色テープを紙パンツに押し付け、はり付ける
  4. パッドは紙パンツの立体ギャザーの内側に置く
  5. 紙パンツを腰まで引き上げる
  6. 背中側も腰まで引き上げる
  7. 紙パンツに下着を挟み込まないようにする
  8. 紙パンツが後ろに下がっていないか、時々チェックする

動画では、パッドだけの交換の方法、家族などが紙パンツをはかせる方法・脱がせる方法、廃棄の方法をまとめています。介護初心者のみなさんの在宅介護が少し楽になるかもしれません。

おことわり

なかまぁる編集部と花王「リリーフ」では共同プロジェクトを実施しています。この記事で登場する方々は、3月26日~5月19日にかけて実施した「介護初心者が戸惑うトイレ問題 排泄介助に関するアンケート」の回答者の中から、「体感レポート」に参加していただいた方に追加取材をしたものです。インタビュー内容は取材時点の状況です。

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