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39歳で認知症と診断 「笑顔で生きる」13年、語り始めた「進行」

認知症当事者の相談窓口「おれんじドア」で笑顔で話す丹野智文さん=2015年、仙台市

 39歳で認知症と診断されて13年。丹野智文さん(52)は、認知症とともに希望を持って歩む生き方を体現し、「何もできなくなる」「人生終わり」といった認知症観を変えてきた。その人が病の「進行」を語り始めた。どんな心境の変化があったのか。丹野さんは、尊厳を保つためにこそ考えたいと言います。

■無意識に逃げていたのかも

 ――1月に出版された「認知症の進行を早める生活、遅らせる習慣」(共著)で、「進行について考える」という一文を寄稿されました。公にはほとんど語ってこなかった不安や葛藤が率直につづられ、衝撃を受けました。

 「これまで私は、進行のことは考えたくない、と言い続けてきました。でも、認知症の当事者が診断された人の相談にのるピアサポートを続けるなかで、1千人を超す仲間と出会い、わかりました。どんなに自立に向けた努力をしても、環境がよくても、進行する人がいます。その現実を認めないと次に進めないと思ったのです」

 「これまでは無意識に進行と向き合うことから逃げていたのかもしれません。やっぱり当事者にとって進行の話は怖いし、きついんですよね。自分の未来を見ることですから。あの文章も書いていて涙が出ました」

 ――この10年、講演などで「笑顔で生きよう」「工夫すれば大丈夫」というメッセージを伝えてこられました。

 「私は、ネッツトヨタ仙台で営業の仕事をしていた2013年、若年性アルツハイマー型認知症と診断されました。顧客や同僚の顔や名前を忘れてしまうようになり、受診したのです。ネットで調べると『2年で寝たきり』などの情報ばかり。『人生終わった』と絶望し、ベッドで一人で泣いていました。でも、明るく生きる当事者と出会い、少しずつ前向きになれました」

 「その頃は笑顔で過ごしている当事者はほとんどいなくて、みな下を向いていた時代です。私も最初は笑うことはできませんでした。だからこそ私は笑顔で生きようと言い続けました。いま笑顔で生きている認知症の人はたくさんいます。一人で出かける人も、働き続ける人もいます。時代は変わりました。今度は、まだ当事者があまり言葉にしていない進行を本音で語ってみようと思ったのです」

■目に見えない「存在不安」

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朝日新聞(デジタル版)2026年09月21日掲載

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