認知症とともにあるウェブメディア

認知症フレンドリーイベント開催 暮らしやケアを考えよう 

多くの人が参加したイベント
多くの人が参加したイベント

認知症について、暮らしやケアなど様々な角度から考える「認知症フレンドリーイベント」が22日、東京・京橋の東京コンベンションホールで開かれました。生活や制度などをテーマに、当事者や専門家らが意見を交換。743人が参加し、熱心に耳を傾けていました。

認知症フレンドリーイベント用渡辺社長

イベントは朝日新聞社の主催で、創刊140周年記念事業の一つ。朝日新聞社はこの日、認知症をテーマにしたウェブメディア「なかまぁる」をオープンしました。渡辺雅隆社長は、「認知症の方も含めあらゆる人に、配慮と優しさが行き届いた社会をつくっていくために、私たちも微力ながら力を尽くしていきます」とあいさつしました。

イベントでは、認知症の当事者や家族を支える団体や、医療などの関係者が登壇し、話しました。

安田清さん サイズ小
講演する大阪工業大客員教授の安田清さん

言語聴覚士で大阪工業大客員教授の安田清さんは、「軽度認知障害(MCI)や認知症になって、必要な情報が覚えられなくなったら、記憶を支援する道具を使えばいいんです」と提案。身につけられるメモ帳といった身近なものや、開発中の見守りシステムなどを紹介しました。

夫と訪れた60代の女性は、「介護する人が1人で抱え込まないで、というメッセージが印象に残りました。今はまだ認知症をオープンにしにくいけれど、みんなで認知症の人を支えていくような社会になったらいいですね」と話していました。

「認知症のひとにやさしい街」サイズ小
「認知症のひとにやさしい街」をテーマに話す(右から)春原治子さんと辻井博さん、福田人志さん

「認知症のひとにやさしい街」をテーマにしたセッションでは、認知症の当事者3人が登壇し、日々の暮らしのなかで工夫していることや、これからの希望を話しました。日本認知症本人ワーキンググループの福田人志さんは自分で描いた絵ハガキの作品を披露し、「認知症になっても自分のやりたいことを楽しんで、少し不便なことがあるだけで、不自由なくやっている。認知症になっても大丈夫と思ってくれる人が一人でもいたら、ここに来てお話してよかったなと思います」と話しました。

認知症フレンドリーイベント用一億人のスイッチ サイズ小
(右から)小国士朗さんと岩佐まりさん、冨岡史穂編集長

また、「1億人のスイッチを切り替える~認知症フレンドリー社会を目指して」と題したセッションでは、「注文をまちがえる料理店」発起人の小国士朗さんと、認知症の母親を介護しているフリーアナウンサーの岩佐まりさん、「なかまぁる」の冨岡史穂編集長が登場し、社会全体が認知症とどのように向き合うべきかを話し合いました。冨岡編集長は「日本に生きる人みんなが、いつか自分や自分の大切な人が認知症になるかもしれない、自分にできることはないかな、と思う社会になったらいい。みんなで認知症のイメージを変えていきたい」と新メディアへの意気込みを語りました。

認知症フレンドリーイベント用VR小
認知症当事者の視点をVRで体験する来場者

会場には、認知症関連の本の販売や、ウェブメディア「なかまぁる」をPRするブースが設置されました。認知症当事者の視点をVR(仮想現実)で体験するコーナーにはたくさんの人が詰めかけていました。介護施設勤務の男性(52)は「三次元で見ると、身をもって怖さを感じました。家族の理解にもつながるのではないでしょうか」と話していました。

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