認知症カフェとは?オレンジカフェとどう違う?種類や探し方を解説

認知症カフェという言葉は聞いたことがあるけど、だれのために、なにをしているところかよくわからない――。そんな人はけっこう多いのではないでしょうか。そこで、全国の認知症カフェ200か所を訪れたという、なかまぁるの好評連載企画『コッシーのカフェ散歩』でもお馴染みのフォトグラファー・ジャーナリストのコスガ聡一さんに、認知症カフェの定義や概念といった基礎知識から、参加の仕方や自分に合ったカフェの探し方までわかりやすく解説してもらいました。

コスガ聡一氏
コスガ聡一氏

Q1 認知症カフェってどんなもの?

A 認知症カフェは、2012年に厚生労働省が発表した認知症施策推進5か年計画(通称「オレンジプラン」)で「認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき、集う場」として定義された取り組みです。心理学者のベレ・ミーセン氏が創始したオランダのアルツハイマーカフェが日本に紹介され、各地に普及していきました。

本場のアルツハイマーカフェには、アルツハイマー協会の指導と助成、30分刻み・5部構成のプログラム、生演奏のBGM、平日夜の開催などといった特徴がありますが(表1)、当初の日本には必ずしもこうした要素を成立させる文化的土壌がなく、大小さまざまな家族会、サロンやミニデイサービス(公民館などで行われる地域の交流活動)コミュニティカフェ(社会課題や交流をテーマとする飲食店)などを土台に、認知症カフェが広がっていきました。

(表1)オランダのアルツハイマーカフェの特徴=コスガ聡一氏作成
(表1)オランダのアルツハイマーカフェの特徴=コスガ聡一氏作成

Q2 認知症カフェが生まれた背景は?

A 日本は超高齢社会の到来により、自然なこととして認知症と診断される人が増えています。2012年6月に厚生労働省のプロジェクトチームが発表した『今後の認知症施策の方向性について』という文書では、過去の認知症施策の誤りを認め、「ケアの流れを変える」ことを宣言しました。「認知症の人は、精神科病院や施設を利用せざるを得ない」という従来の考え方を改め、「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けることができる社会」 の実現を目指すことに方針転換したのです。認知症カフェという言葉もこの文書で初めて登場しました。認知症カフェの目的は、認知症の人や、認知症に進行する可能性があるとされる軽度認知障害(MCI)の人たちとその家族らが、それまで通りの暮らしを続けられるよう地域に馴染みの場所をつくることにあります。そして同時に地域の人たちもその場を共にすることで、すべての人が認知症について正確な知識と最新の情報を得られるよう考えられています。

「認知症カフェ」デビュー_2
「ももとせサロン」(千葉県成田市)の様子 (コッシ―のカフェ散歩にて紹介)

近年、検査技術の発達や地域包括ケアという体制の広まりが、認知症の早期発見・早期診断を可能にし、これまでよりも早く軽度の段階で認知症と診断される人が増えています。ところが従来の介護保険サービスの多くはある程度認知症が進行した方たちを対象としているため、早期診断された人のための公的サービスが存在しない期間があることが新たな課題として浮上しました。インフォーマル(非公的)な取り組みである認知症カフェには、このいわゆる「空白の期間」をカバーすること、そして65歳未満で診断される若年性認知症の方たちの社会的包摂の役割も期待されています。

Q3 認知症カフェとオレンジカフェってどう違うの?

A 基本的には「認知症カフェ=オレンジカフェ」と考えてもらって間違いありません。認知症カフェは、いわば行政用語であり、全国にはその地域の名前を付けたり、親しみやすい名前(ひだまりカフェ、ほっとカフェなど)を付けたりしているところもあります。ちなみにオレンジカフェは、認知症のシンボルカラーであるオレンジから名付けられています。言い換えている自治体のなかには認知症というワードを前面に出すと来にくくなる人がいるという配慮が働いているところもあるようですが、その一方で東京都国立市のように市民が認知症について堂々と議論してもらえるようにと、あえて認知症カフェという名称を使っている自治体もあります。

Q4 認知症カフェの種類は? どんな人が運営しているの?

A 日本の認知症カフェには大きく4つの源流があると考えています(表2)。アルツハイマーカフェ系は、モデルとなったオランダのアルツハイマーカフェの特徴を継承するカフェ、家族会系は相談やピアサポート(同じような立場の人によるサポート)に強みを持つカフェ、ミニデイサービス系はレクリエーションや介護予防などを行うカフェ、コミュニティカフェ系は毎日開催することを目指し、駆け込み寺ともいわれるカフェです。運営者も、ご本人や家族が中心になっているもの、市町村などの行政や地域包括支援センター、介護事業者や病院が担当するものなどさまざまです。

(表2)日本の認知症カフェの4つの源流=コスガ聡一氏作成
(表2)日本の認知症カフェの4つの源流=コスガ聡一氏作成

Q5 認知症カフェではどんなことを行うの? 参加費は?

A 認知症カフェの内容はカフェによって変わります。相談や傾聴など会話中心のカフェもありますし、歌を楽しんだり体操を行ったりするレクリエーションや介護予防を目的とするようなカフェもあります。しかしほとんどの認知症カフェには医療・介護の専門職(社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、保健師、看護師、医師など)が参加しており、お茶やお菓子をつまみながらそういった人たちともいろいろな話をすることが出来ます。飲み物はコーヒー、紅茶、緑茶などが出され、ちょっとおしゃれなところではハーブティーなどもあります。参加費は無料、あるいは100~300円というところが多い印象ですが、食事がつくと少し高くなります。わたしがこれまで行ったなかで一番高かったのは夕食にワイン1杯がついて2000円というカフェでした。

Q6 認知症カフェに参加することのメリットは?

A 認知症のご本人にとっては、地域に顔なじみの場所ができることには大きな意味があるといえるでしょう。引きこもりがちな生活が続くと、誰だって生活不活発病や筋力の低下などにつながります。カフェに行って自分と似た境遇の人と話したり、病気や健康について学んだり、おいしいものを食べたりして社会との接点を持つことは生活に彩りを与えてくれるはずです。認知症のあるご本人でもお茶を入れたり、誰かの相談を聞く側になるなど、カフェを参加の場としている人もたくさんいます。

家族など介護者にとって、カフェは専門職や他の介護者と交流する場であり、同時に息抜き(レスパイト)の場でもあります。家で24時間一緒にいるご本人と、カフェでなら少し離れて座ってもいいのではないでしょうか。よい気分転換になるはずです。介護者同士なら具体的な相談ができることも特徴です。たとえばおむつやリハビリパンツの種類や使い方。どういうときに何を選んだらよいかは介護者同士の方が話しやすいそうです。また、「あの病院はご飯がおいしかった」とか、「あの先生はこうだった」とか、地域の病院や施設の噂話で盛り上がることもあります。そうしたネットでは手に入らない噂話も情報として参考になるでしょう。また、介護の先輩たちの話を聞くことで、先々の心構えを身につけることもできます。未来を知ることはいいことばかりではないかもしれませんが、学ぶことで心の余裕もできるのではないでしょうか。

「認知症カフェ」デビュー_4
「言いっぱなし聞きっぱなしカフェ」(山梨県昭和町)の様子(コッシ―のカフェ散歩にて紹介)

Q7 当事者と家族以外の人たちが参加するメリットは?

A 自治会長さんや民生委員、ボランティアで来る人など、地域の人もたくさん参加しています。大学生や高校生だけでなく、小学生もいるなど年代もさまざま。そういう人たちにとっては、誰の身にも起こりうる認知症というテーマについて正しい知識を知ることができる場になりますし、ボランティア活動として地域に係わる場ともなります。

認知症というと、多くの人は「子どもの顔もわからなくなる」「病院で寝たきり」といった終末像を思い浮かべますが、認知症カフェに参加すると、どの人が認知症で、どの人がそうでないのか見分けが付かないことはよくあることです。そういうありのままの様子を見て、自らの中のイメージとのギャップに気がつき、各自が認知症についての誤解を修正していくことで、少しずつ社会をより良い方向に変えていくことができると信じています。

Q8 自分や家族のニーズに合った認知症カフェの探し方は?

A 2018年末で、全国の認知症カフェは5800か所を超えたとみられています。現在はかなり人口の少ない自治体を除けば、ほとんどの市町村にカフェがあるはずです。「なかまぁる」の認知症カフェ検索サービスを使って探すことも出来ますし、市役所や区役所、あるいは近くの地域包括支援センターに問い合わせれば開催情報を手に入れることが出来るでしょう。

大事なのは必ずしも最寄りのカフェに行く必要はないということ。介護保険サービスではないのでどこに行ってもいいというのが認知症カフェの特徴です。行きやすい場所、行きやすい時間帯に開設しているところを探してみてください。

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「長屋カフェ」(東京都江東区)の様子(コッシ―のカフェ散歩にて紹介)

コッシーからのメッセージ
みなさん、ぜひ認知症カフェを訪れてみてください。敷居が高いと感じられるのは最初だけ。身の上などを詳しく話す必要はないですし、名乗りたくなければ匿名のままでも参加できます。世界観がガラガラと音を立てて崩れるような強烈な体験が待っているかもしれません。自分自身の変化を楽しんでほしいと思います。一方で最初は期待しすぎないことも大切です。カフェにはそれぞれ個性があり、得意としていることが異なるため、相性もあるでしょう。最初は3か所くらい行ってみるつもりで、カフェ巡りを始めてみてください。あなたにぴったりな認知症カフェは必ずどこかにあるはずです。

コスガ聡一さんと相棒コッシ―
コスガ聡一さんと相棒コッシ―

コスガ聡一氏プロフィール

フリーカメラマン。2011年から認知症分野の取材に携わり、2016年より独自の活動として認知症カフェ取材を開始。ブログ「全国認知症カフェガイドon the WEB」を通じ認知症カフェの情報を収集・発信している。「なかまぁる」ではウェブメディアの特性を生かし動画制作に挑戦中。北海道生まれ、東京都出身の42歳。
なかまぁるにて「コッシ―のカフェ散歩」を連載中

提供:株式会社コンパス

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