昼夜逆転して、夜に眠ってくれない…いい方法は?認知症ケアの知恵

夜の介護のイメージ

認知症の人を介護する家族やケアマネジャー、訪問看護師、医師には、ケアについての多様な経験があります。そんな経験が生かされたケアの知恵(コツ)をお伝えします。

Q.昼夜逆転して、夜に眠ってくれない。夜に寝てもらういい方法は?

A.普通の生活リズムに戻すことに固執せず、昼夜逆転を認めたうえで対処法を考えましょう

高齢になると、睡眠パターンに変化が現れます。夜、2時間おきに目が覚めるこま切れの睡眠パターンもあれば、2日間眠りつづけて、ようやく目覚めると今度は2日間ずっと起きているようなパターンもあります。認知症の人の場合は、昼夜逆転の睡眠パターンになるケースが多く、こうした状況がつづくと家族が心身ともに疲れ果ててしまいます。

まず試みてほしいことは、日中の活動量を増やすことです。デイサービスを活用すれば、アクティビティなどに参加したり入浴したりすることで、おのずと活動量が増えます。また、訪問介護サービスのプランに買い物同行を組み込んだり、散歩に連れ出したり、外出機会を増やすのもいいでしょう。

ただし、就寝前には刺激を与えないようにしましょう。時代劇やサスペンスドラマなどを見ると、どうしても神経が高ぶります。本人が好きな穏やかなメロディーの曲を聴いてもらうなど、安定した気持ちで入眠できる工夫をしてください。

こんな意見も

以前に利用していたデイサービスは、あまりレクリエーションが活発ではなく、日中は車いすでうとうとして帰ってくることもよくありました。そうすると夜に眠ってくれず、介護をするこちらが睡眠不足になってイライラするという悪循環に。外出やアクティビティーが充実しているデイサービスに変えたところ、夜、よく寝てくれるようになりました。(家族 女性)

昼夜逆転の生活リズムを受け入れるのも一手

日中の活動量を増やしても、必ずしも昼夜逆転が改善するとは限りません。改善しない場合は、昼夜逆転の状態を「それでいいんだ」と受け入れ、家族にとって負担にならない対策を考えるようにしましょう。

本人の自立歩行に問題がなければ、夜間の生活は本人の自由にしてもらい、家族は別室で寝てもかまいません。朝、起床したときに様子を確認しましょう。トイレが心配で頻繁に目を覚ます場合は、尿量を把握したうえで、医師に相談を。家族が仕事をしている場合は、家族のほうができるだけ睡眠パターンを認知症の人に合わせ、早く就寝するようにしましょう。

老老介護の場合は、どうしても介護者の負担が大きくなります。十分に睡眠をとるために、介護される人の睡眠パターンに合わせて、介護者のほうが睡眠導入剤を服用して日中に睡眠をとる、という方法もあります。また、夫婦の寝室を別室にすれば、介護者はぐっすり眠ることができるでしょう。

昼夜逆転している本人が、よく眠れないと訴える場合もあります。眠ることは体力を要することなので、一般的には高齢になればなるほど睡眠時間は短くなり、長時間の睡眠を必要としなくなります。眠れないという訴えは、十分に睡眠をとったという満足感が得られないからでしょう。しかし、起きているときにうとうとしているのなら心配ありません。

こんな意見も

お酒が好きな人は寝酒をのむことが多いですが、お酒を飲むと睡眠が浅くなるため、質のよい睡眠がとれません。ウイスキーやブランデーにはウーロン茶を、日本酒にはミネラルウォーターを混ぜておくとアルコール度数が下がります。(看護師)
睡眠導入剤を飲みたくないという理由で、お酒に頼る認知症の人もいるようです。しかし、最近の睡眠導入剤は安全性が高いので、お酒で肝臓を痛めるより薬のほうが安心だと、医師に指導されました。(家族 男性)

この記事は、『認知症の人と家族のための「地元で暮らす」ガイドブックQ&A』から許可を得て転載しました。

認知症の人と家族のための「地元で暮らす」ガイドブックQ&A
認知症カフェに集まる家族や専門職と、認知症の人と暮らすためのヒントを考えた一冊。当事者ならではのアイデアや失敗談など今日から活かせる情報を、33のQ&Aでわかりやすく掲載しました。新里和弘監修、NPO法人Dカフェnet 著
詳しくはこちら(メディカ出版のサイトに移動します)

〈つぎを読む〉便がなかなか出ない…排便を楽にする工夫は?認知症ケアの知恵

あわせて読みたい

この記事をシェアする