認知症早期に多い困った症状への対処法20
取材・文/山内リカ 2018.09.18
1.同じ話を何度も繰り返す
▶初めて聞いたかのように、話に付き合う
▶その話に興味を持って、耳を傾ける。話を遮らない
2.「いつ帰るの?」「どこに行くの?」を繰り返す
▶話題を変える
▶ほかのことに関心が向くようにする
▶いつも聞かれることの返答をメモなどに書いて、いつも目にするところに貼っておく
3.言葉が出にくい
▶メモを使ってやりとりする(言葉はできるだけ漢字で。単語でシンプルな文章にする)
4.ミスをすると取り繕う
▶ミスを責めず、「私もよくあること」と受け止める
▶さりげなく、本人が気がつかないようにフォローする
5.人と会うのを嫌がるようになった
▶恥ずかしがっている、傷ついている場合は、「大丈夫」と安心するような言葉をかける
▶「あなたに頼って来ている」とか、「先生として教えてほしいから来ている」など、先方の理由で来ているという趣旨を伝える
▶最近出かけたときにどんなことがあったのか、周りに聞いてみる
▶にぎやかなところ、人が大勢いるところは避ける
6.趣味などに興味を持たない
▶今興味を持っていることを会話の中から聞いていき、それを楽しめるような工夫を考える
▶今までの趣味に興味を持たなくても、それを無理強いしない
▶複雑な趣味ができなくなった可能性もあるので、家族も趣味を一緒に楽しんだり、一部だけお手伝いをしたりするなどの工夫をする
7.ものをなくす
▶一緒に探す。見つけても本人がいなかったら拾わず、その場に呼んで、一緒に確認する
▶その人がどういうところにものを入れるのか、クセや習慣を把握しておくと見つけやすい
8.時刻がわからない
▶大きな文字盤の時計を使う
9.今日がいつかわからない
▶日めくりカレンダーを使う
▶大きいカレンダーを使い、過ぎた日に×、今日の日付に○をつけたりする
10.車の運転が危ない。事故を起こしそうになった
▶免許証を返すのが安心だが、嫌がる場合には「大事なものなので、警察に預かってもらいましょう」などと説明する(地元の警察にはその旨を伝えておく)
11.車が通っていても、かまわず歩いていってしまう
▶できれば、付き添う
▶ご近所や支援者、地域見守りネットワークの人に状況を説明しておく
12.同じものを何個も買う
▶冷蔵庫に「買うもののリスト」を貼る
▶行きつけのスーパーや店に本人の状態や家族の事情を伝える
▶買いものに付き合う
▶買いもの前に、冷蔵庫の中のものをテーブルの上に並べてメモを書いてもらい、できないなら家族が一つひとつ読みあげてメモに書き、それをもって買いものに行く。写真にとってもOK
13.小銭が使えず、紙幣ばかりで支払う
▶小銭を両替して紙幣(1000円札など)を入れておく
▶本人や家族が安心できるような店で、本人が了承すれば、財布から現金を店のスタッフに取り出してもらう(必ずレシートを入れてもらう)
▶お店の協力を得て「ツケ」で払い、家族が後日精算する
14.一人になることをさびしがる
▶「私もさびしい」と共感し、正面から、明るい話題をもちかける
▶本人に好きな話をしてもらう(昔の話など)
15.家に閉じこもり、外出したがらない
▶外出のきっかけづくりをする(受け入れてくれている人のところに遊びに行く、なじみの場所に出かける、興味のある展覧会に行くなど)
▶閉じこもっている原因が、足や腰の痛みや、トイレの心配ではないか、確認をする
▶以前出かけたときに、嫌な思いをしたことがあったら、「そこには行かない」と伝える
16.ゴミ出しを忘れる
▶ゴミ袋が色分けされていたら、前日や当日、30分前に「○色のゴミを出して」と電話をする
▶朝起きて、必ず手に取るコップなどの近くに、「ゴミの日」というメモを置いておく
▶ヘルパーに依頼する
▶自治体に依頼してゴミの収集の際、玄関まで来てもらう(※対応方法は自治体により異なるので、確認を)
17.財布を盗まれたと言う
▶「それは困ったわね、一緒に探しましょう」と一緒に探す
▶財布などがあるところに連れて行って、本人が見つけるように仕掛ける
18.誰もいない部屋に人がいると言う
▶「私が一緒にいるから大丈夫」と声をかける
▶「1回、お清めしましょう」などと言って、安心してもらう
19.妻(夫)が浮気をしたと言いだした
▶「そんなことはない」とやさしく、スキンシップをとりながら語りかける
▶「そんなことを言われて悲しい」という気持ちを伝える
▶家具の配置を変えたり、勝手に本人の愛用品を処分していないか、振り返る(その場合は、なるべく前の環境に近い状態に戻す)
20.鍋を焦がす、火を消し忘れる
▶ガス調理器をIHに変える
▶一定の温度になると自動で火が消える、安全装置のついたものにする
▶宅配の食事に変える