介護家族の負担を軽くする、デイサービス利用のコツとは?
取材・文 藤村かおり 2018.09.18
南越谷健身会クリニック院長の周東寛さんは言う。
「認知症は、発見が早期であればあるほど改善がみられる。S子さんの場合は動脈硬化や糖尿病もあって認知症に拍車がかかり、MRIのスコアも悪かったのですが、2種類の薬とカラオケを続け、言葉も笑顔もよく出るようになりました」
周東さんの病院には、新規の患者が1年で100人以上訪れるという。
「家族が伴う場合が多いですが、友達が連れてくることもけっこうある。この前も、定年後に家に閉じこもっていた男性をスポーツ仲間が『体がなまるぞ、健康チェックしようぜ』と病院に誘い、中程度のアルツハイマーが見つかりました」
さて、無事に受診し認知症と診断が出た後は、「デイサービスやデイケアへの一歩」がある。ここでもちょっとしたコツが必要だ。前出の「認知症の人と家族の会」の大野さんは言う。「デイサービスに行きたがらない場合は、まずは家族だけでいくつか見学に行き、本人に合ってるかな、というところを見つけてお試しするのがお勧めです。サロンに行く?なんて声をかけてもいいですね」
夫や妻と離れたがらない場合は同行したり、後から行って半日くらい一緒に過ごしたりするのも効果的だ。
「一度行ってご本人がいやだと言うと、ご家族は諦めてしまうことが多いのですが、少し粘ってみるといいですよ。デイサービスでも薬の管理や食事管理はしてもらえる。何よりご本人の人間関係が広がり、刺激がもらえます」(大野さん)
東京都在住の要介護3の認知症の女性(88)は、30年来通った声楽のレッスンと同じ曜日のデイサービスを家族が選んだところ、スムーズに移行でき、現在は週3度も通っているという。「母は、デイで今までの人生と同じ通りに歌を楽しんでいるんです。実際に大声で歌を歌ったりお仲間に教えたり」(女性の家族)
慣れてくれば、家族もデイサービスの間はほっとできるはず。ただしこんな注意点もある。「デイサービスから帰ってきたときに、今日は何をしたと聞かないこと。それでなくても神経を使って疲れているのに、後から家族にあれこれ聞かれると、思い出すのが苦痛で、『デイ拒否』になることがあります」(大野さん)
顔色を見れば、楽しかったのかどうかは一目瞭然。本人が楽しんでくれれば、介護の精神的負担もずっと軽くなるはずだ。
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