たまに会うからこそ気付く認知症の症状

認知症では、いちばん親しい人が攻撃対象になる症状もある。家族以外の好きな人の話なら聞き入れることもある。また、いつも一緒にいる家族には気づかない小さい変化を、たまに会う他人が見つけることも。そのため、家族以外の第三者が介入することで、道が開けることもある。

埼玉県在住のカラオケ教室講師の橋本都さん(76)は、歌のレッスン中に何人かの生徒の異変に気づいた。
「60〜70代で続けて長く通っている方が多いので、今日は元気がないなとか、言葉が出ないなとか健康状態がよくわかるんです」(橋本さん)

友人が連れ出し受診できる例も

3年前、橋本さんは教え子のA子さん(71)がぼんやりして目の動きがいつもと違うと感じ、
「よかったら健康診断してみない? いい病院があるのよ」

と声をかけ、自らが高血圧治療で通う南越谷健身会クリニック(埼玉県越谷市)に連れていった。最新の設備が整っていてすぐに検査ができるし、信頼できる医師がいたからだ。

A子さんは当時、「いろいろなことが気になる」「もの忘れする」という症状を訴え、別の病院でパニック障害と言われて心療内科に通っていたが、脳の検査は受けたことがなかった。

南越谷健身会クリニックでMRI検査を受けた結果、小さな梗塞と海馬の萎縮が見つかった。すぐに血流をよくするための点滴や投薬を始め、初期の認知症状が改善してきたという。

また別の教え子のS子さん(76)は、一緒に暮らす嫁と折り合いが悪く、自らおかしいと思いつつ、「病院に行きたいと言っても連れていってもらえない」ため、橋本さんを頼ったという。
「やはり3年前くらいですが、S子さんから電話がかかってきて、頭がぼうっとしてわけがわからないと、しどろもどろに言うので、これは大変だと思い、すぐに病院にお連れしたんです」(橋本さん)
検査(MRIと長谷川式認知症スケール等)の結果、S子さんはアルツハイマー型認知症とわかったが、通院とカラオケを続けて、今では「言葉がすらすら出てくる状態」にまで回復したという。

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