認知症の8つのリスクを正しく理解しよう

認知症の発症に起因していると考えられるリスクがあります。早めの治療やセルフケアで予防につなげるためにも、主なリスクを知っておきましょう。

認知症が発症するメカニズムやリスクとの関係についてはわかっていないことも多いものの、近年では研究が進み、認知症を発症する可能性を高める病気が明らかになりつつあります。現在考えられるリスクとしては、糖尿病や高血圧、アルコール、脂質異常症、脳梗塞、頭部外傷、喫煙、うつ病の八つが挙げられます。

これらのリスクについて、順天堂大学大学院精神・行動科学教授の新井平伊医師はこのように話します。

「認知症は多因子疾患と呼ばれ、いくつもの要因が重なり合って起こる症状と考えられます。リスクが一つの場合より、二つ、三つと重なるほうが認知症の発症につながりやすいといえます。しかし、リスクは減らすことができます。将来の認知症を予防したいなら、今できる治療や生活改善をしっかりすることが重要でしょう」

それぞれのリスクについて解説します。

リスク1 糖尿病

糖尿病と認知症の関係については、多くの研究が進められており、糖尿病の人は認知症の発症リスクが、糖尿病でない人と比べ、1.5〜2倍高いという報告があります。糖尿病がなぜ認知症につながるのかについては、近年、いくつかのメカニズムが解明されつつあると国立長寿医療研究センター部長で大阪大学連携大学院招へい教授の里直行医師は話します。

「糖尿病は複雑な病気で、そこから認知症につながる要因もいくつか考えられます。主に、糖尿病により血管が障害されて起こる可能性と、代謝の働きの異常によって起こる可能性があります」

糖尿病になると血管に障害が起こりやすくなり、血液循環が悪くなるため脳に十分な酸素や栄養が届かなくなります。さらに、長期にわたって血管が障害されると、血管が詰まる、出血するなど脳血管の病気になりやすく、それによって脳の神経細胞がダメージを受けて認知症のリスクが高まると考えられます。

リスク2 高血圧

とくに中年期の高血圧は認知症発症リスクが高いとされています。降圧剤を服用して血圧をコントロールすることで、認知症の発症や認知機能の低下が抑制されたという報告は国内外であります。高血圧と認知症発症の関係について、里医師はこう話します。

「高血圧により動脈硬化など血管の障害が起こることが要因と考えられます。脳の血管はからだのほかの部分の血管と構造が異なり、傷つきやすい傾向があります。血圧が高くなると出血が起こりやすくなり、血管に障害が起こることで神経細胞がダメージを受け、認知症を発症しやすくなるのです」

高血圧に糖尿病を合併している場合は、さらにリスクが高まると言います。

「糖尿病が進むと腎臓の障害を起こしやすく、うまく尿が作れなくなることで体液がたまり、さらに血圧が上がりやすくなるため、より注意が必要です」(里医師)

リスク3 アルコール

飲酒については、慢性アルコール依存症になるくらい常習的に、かつ多量に飲酒をした場合には、アルコールそのものの毒性や低栄養、ビタミンB1の欠乏、脳血管障害などによって、ウェルニッケ・コルサコフ症候群という脳の病気や、アルコール性認知症の発症につながります。つまり、大量の飲酒は直接的な認知症の原因になり得ると考えられます。

一方、少量の飲酒は認知症のリスクを減少させるという報告もありますが、これについて新井医師はこう指摘します。

「飲酒歴が後年の脳萎縮に影響する可能性があること、アルコールが睡眠の質を悪くすることがあるといわれることから、少量でも毎日飲酒することは、認知症のリスク因子になると考えられるでしょう」

〈つぎを読む〉認知症のリスク たばこやうつ病も注意

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