認知症になりやすい人は歩行機能が衰えている?

「どんな人でも、年齢を重ねると筋肉がやせてきて、歩く速度が遅くなったり、歩幅が狭くなったりします。本研究でわかったのは、通常の加齢変化に比べ明らかに早く歩行機能が衰える人がいて、この変化がみられた数年後に認知症を発症している人が多いということです」(谷口さん)

参考までに、同研究で歩く速度が「どんどん遅くなる」と分類された群の歩行速度は、男性の70歳が1.76メートル秒(単位は以下同)、80歳が1.55、90歳が1.34。女性ではそれぞれ1.44、1.18、0.92でした。一方、「歩幅がどんどん狭くなる」と分類された群は、男性の70歳が73.6センチ(単位は以下同)、80歳が62.2、90歳が50.9、女性ではそれぞれ63.8、53.4、43.0でした。

歩幅の目安は横断歩道の白線

ただ、こうした歩行速度や歩幅について、測定を受けたことのない人もいるでしょう。歩幅については次のような方法で自己チェックができます。

「横断歩道を渡るときに、白線を踏まずにまたぐことができていたら、合格点。横断歩道の白線は約45センチ幅でひかれています。足の大きさを考えると、つま先が白線上にあって、次の一歩のかかとが白線を越えていれば歩幅は約65~73センチになります(下図参照)」(同)

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横断歩道を渡るときの歩幅チェック法

ところで、なぜ脳からもっとも遠い位置にある足腰の機能が認知症と関連するのでしょうか。谷口さんはこう説明します。

「歩くという動作は単純そうですが、実は脳では複雑な処理がおこなわれています。目や足から伝わる情報を脳は瞬時に処理し、次の一歩を踏み出すように筋肉に指令を出します。このとき、障害物や路面の状態、からだのバランスに応じた適切な歩幅になるように計算しています。歩行動作は、複雑な脳の情報処理や神経伝達が必要とされる動作なんです」

こうしたことから近年、認知症と歩行速度との関連が注目され、脳の画像検査や血流検査を用いた研究がさかんになりました。そして、歩行動作に脳の多くの部分がかかわっていることがわかってきたといいます。

2019年2月18日更新

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