認知症を防ぐウォーキングは「1日5000歩、速歩き7.5分以上」

ウォーキング=健康という考え方が一般的です。

でも「歩数を増やしても疲れるだけ」「歩いているのに病気になった」など、その効果について、疑問を抱いている人もいます。

正しいウォーキングを実践するには「強度」が大切です。

健康寿命を延ばすためにウォーキングを日課にしている人も少なくありません。ただし……。

「誤った認識でウォーキングをおこなうと、かえって病気になったという人を大勢見てきました」

と、警鐘を鳴らすのは東京都健康長寿医療センター研究所の運動科学研究室長・青栁幸利さんです。

「まず、毎日1万歩以上歩いてさえいれば健康を維持できるという固定概念を改めましょう」

青栁さんは、群馬県中之条町に住む65歳以上の高齢者5千人を対象に、日常の身体活動(歩き)と病気予防の関係について大規模な調査研究を実施。18年以上続けておこなわれている「中之条研究」から、単に歩く(歩数)だけでは十分ではなく、歩く質(運動の強度)も重要である、ということがわかりました。なかでも中くらいの強度(中強度)がもっとも効果的だとか。

「1日平均の歩数と中強度の活動時間のバランスで、さまざまな病気にかかる割合が低くなることが説明できるようになったのです」(青栁さん)

そもそも運動強度とはエネルギー消費量の少ないほうから「低強度」「中強度」「高強度」の3つに分類されます。「低強度」は軽い家事やゆっくりとした散歩、「中強度」は速歩きのウォーキング、やや重い家事や山歩きなど、「高強度」はジョギングやテニス、水泳などに相当する運動です。

青栁さんの研究では、適度な歩数で、そのなかに速歩き(中強度)の時間が含まれていれば、多くの病気を予防できることが明らかになりました。

下の図は、研究データから導き出された「1年の1日平均の身体活動からわかる予防基準」をグラフ化したものです。歩数と、そのうち速歩きをした時間と、病気の予防ラインとを示しています。

歩数と時間で見る病気の予防ライン
歩数と時間で見る病気の予防ライン
  出典:青栁幸利「あらゆる病気は歩くだけで治る!」(SBクリエイティブ)

認知症は、歩数が5千歩以上、そのうち速歩き(中強度)の時間が7.5分以上だと、発症者がほとんどいなかったという結果を表しています。この7.5分は、継続しても、断続的におこなって合計時間で換算してもよいのだそうです。

同様に、骨粗鬆症やがんは7千歩で15分以上、高血圧や糖尿病は8千歩以上が予防ラインになります。ここでひとつ疑問が湧きます。やっぱり、たくさん歩きさえすれば万病に効果があるのでは、と。青栁さんは話します。

「いいえ。運動のしすぎは逆に免疫力を低下させ病気になりやすくなりますし、強すぎる運動は活性酸素を増やし、からだの老化を速めるといわれています。しかもたくさん歩いても健康効果は頭打ちで、例えば1日平均1万2千歩、中強度40分以上を続けたとしても、8千歩、中強度20分の人と健康効果が変わらないことが研究で明らかになっています」

歩きすぎは慢性疲労につながり、ケガや病気の原因にも。適度な歩数と運動強度のバランスを整えることが重要なのです。

年齢と体力で異なる強度 自分に合った中強度を知ろう

ただ、注意点もあるそうです。

「運動強度とはその人の体力や年齢で変わります。同じ歩数と速度でも20代では低強度、50代では高強度となりうるのです」

大切なのは自分にとっての中強度を知ることだといいます。

「ほとんどの年代、特に中高年以降の年代の人にとって『なんとか会話ができる程度の速歩き』が、その人の中強度の目安です」

こうした個人差のある身体活動をわかりやすく管理するために、青栁さんは活動量計の活用を推奨しています。

「歩数や運動強度、消費カロリーなど、その人の1日の生活の活動すべてを測るので、より効果的な健康づくりの指針となります」 

ウォーキングは、年齢がいくつでも始めるのに遅くはないという青栁さん。まずは、一歩踏み出してみませんか。

活動量計
活動量計M55(ミズノ)4320円(税込み)
強度が測れる活動計とは?
歩数、中強度活動時間、歩行距離、 総消費カロリーなどの身体活動を測 定。中強度の測定機能付きが商品選 びのポイント。写真は青栁さん監修 の活動量計。中之条研究では活動量 計を持つだけで歩数が約2000歩増 えたという。また、奈良県や神戸市な ど各地で活動量計を使った健康づく りへの取り組みも広がっている。

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