認知症の発症リスクが半減 最新の食事法

認知症予防に効果がある新しい食事法として「マインド食」が注目されています。複数の栄養素を食事に取り入れることで、アルツハイマー型認知症のリスクが大幅に減少することがわかってきました。
マインド食、その秘密に迫ります。

リスクを減らす「マインド食」とはいったいどんなもの?

2015年、アメリカのラッシュ大学医療センターの研究グループが、「『マインド食』がアルツハイマー型認知症予防につながる」という研究結果を発表しました。

「マインド食」とは、心疾患の予防に効果があるとされる「地中海式食事法」と、高血圧を防ぐとされる「ダッシュ食」を組み合わせたもの。地中海式は野菜、豆、果物をメインに、オリーブオイルや魚介類を積極的にとる食事法で、ダッシュ食は脂肪やコレステロールを控え、塩分排出作用のあるミネラルを増やすものです。

それらを合わせた「マインド食」は、脳の健康を保つのにおすすめの食材10項目と、控えたい5項目をリストアップ。先の研究グループが、アメリカに住む58〜98歳の男女およそ1千人を約5年間追跡したところ、15項目中9項目以上を達成できた人のアルツハイマー型認知症の発症リスクは、5項目以下の人たちに比べ53%減少し、半分程度の項目を実行した人でも3割ほど減少したそうです。

下の図は、国立循環器病研究センター脳神経内科部長の猪原匡史医師がアメリカ版のマインド食を日本人の体質や食文化に合わせ変更を加えたものです。

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認知症予防に効果的な食材
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認知症予防のために避けたい食材

「マインド食は、比較的食卓に取り入れやすい食材が多く、実践しやすいかと思います。お酒が苦手な人はワインを緑茶に置き換えられますし、牛肉や豚肉なども週4回以下なら問題ありません 」(猪原医師)

しかし、マインド食の実践の前に、日本人の食事でもっとも気をつけたいのが「減塩」だといいます。猪原医師は続けます。

「日本人は食塩摂取が高血圧につながりやすい体質ですが、平均食塩摂取量は男性がおよそ11グラム、女性が9.2グラムと世界中でもっとも塩分を摂取する民族の一つです」

ヘルシーフードといわれる和食にも実は大量の食塩が潜んでおり、「味噌汁と漬物だけで食塩は3グラムに達することもある」(同センター栄養管理室長で管理栄養士の平野和保さん)というから驚きです。食塩のとりすぎは高血圧を引き起こし、脳の血管を詰まらせたり、傷つけたりします。

「認知症の2〜3割が発症する血管性認知症の最大のリスクは高血圧を介した脳卒中です。塩を一日6グラム未満にするだけで血管性認知症リスクは減ります」(猪原医師)

アルツハイマー型認知症とも無縁ではありません。血管性認知症や脳卒中が、アルツハイマー型認知症の発症や悪化に関係することがわかってきたからです。

減塩料理のポイントは「だし」

減塩は、味気ない、おいしくないイメージがあります。しかし、その常識を覆したのが同センターの病院食「かるしおレシピ」です。1食当たり塩分2グラム未満(6グラム未満/日)ながら、入院患者からおいしいと評判です。その理由は「だし」。平野さんは話します。

「だしでしっかり下味をつけることで、塩はほんの少しだけで済みます。さらに彩りや盛り付けを工夫し、品数も多くして目でも楽しめるようにもしています」

マインド食と減塩。この2つを食卓に取り入れ、健康的に年齢を重ねていきたいものです。

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